コロナ禍の三大都市圏鉄道混雑率

コロナ禍の三大都市圏鉄道混雑率

コロナ禍の三大都市圏鉄道混雑率

以前、通勤時間にまつわるお話をさせていただきましたが、その際にもありました通り、大都市圏における平均通勤時間は1時間を優に超えているケースが多い状況です。

しかも、都心などでは特に通勤ラッシュ帯であれば満員電車の状態が続き、それだけで疲れてしまうという方もいらっしゃるかと存じます。

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通勤時間、重視されますか?

今回はそれに関連して、鉄道混雑率について、コロナ禍における鉄道混雑率がどうなったのか?についても併せて見ていきたいと思います。

 

三大都市圏と鉄道

鉄道網が発達する三大都市圏は、通勤に際しての鉄道の利用が多い都市でもあります。

日本に鉄道が伝わって既に250年以上経過しています。
国土交通省では、約5年に1度「全国都市交通特性調査」にて、移動に関する調査・結果報告を行っています。
直近の調査では平成27年、次の調査が令和3年──つまり2021年です。

その「全国都市交通特性調査結果(平成27年度)」によれば、全国的に平日の通勤手段で多いのが実は「自身で運転する自動車(41.8%)」です。

というのも通勤に際して鉄道を利用している人は、地方都市では6.8%(平日)。
地方都市においては、「自身で運転する自動車」が全国平均を上回る58.4%(平日)と独走状態です。

しかし、それに対して三大都市圏では通勤に鉄道を利用している人の割合が50.4%(平日)と、三大都市圏の通勤電車利用率が突出している状況です。

そして何よりも、三大都市圏では通勤手段で一番多いのが自動車でもバスでもなく、鉄道となります。

調査からもわかるように、都市圏に住む方の中には、鉄道が生活に欠かせないものとなっている方も少なくありません。

よって鉄道混雑率は、時に生活スタイルや鉄道事業者の努力などの変化も浮き彫りにします。

 

鉄道混雑率とは?

そもそも鉄道混雑率というのは、毎年、国土交通省がまとめている「三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)における鉄道混雑率」のことを指します。
各路線、最混雑時間帯1時間の輸送人員数を輸送力(輸送定員数)で割ったもので、最混雑時間帯1時間の平均混雑率とも言い換えられます。

また、その調査では混雑率の目安も示されており、国土交通省の資料では以下のように説明されています。

 

▼ 混雑率の目安
乗車率状態
100%定員乗車(席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる状態)。
150%広げて楽に新聞を読める。
180%折りたたむなど無理をすれば新聞を読める。
200%体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める。
250%電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない。

※引用元:都市鉄道の混雑率調査結果(令和元年度実績)-国土交通省(令和2年9月25日)

ちなみに最混雑時間帯などと表記しておりますが、要するに一番混む時間帯……大抵の路線にとっては朝の通勤・通学のラッシュ帯です。
もちろん、各事業者によって測定時間・測定区間・測定方法などが異なるため、実際の混雑率とのズレは否めません。

 

コロナ禍における三大都市圏の鉄道混雑率

2021年7月、国土交通省より「三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)における鉄道混雑率」の2020年度報告が発表されました。
毎年、昨年度の調査報告を翌年7月に行いますが、今回の調査報告は「コロナ禍の真っただ中」の実態を見ることができるため、いくつかのメディアに取り上げられていました。

 

▼ 平均鉄道混雑率(2020年度)
調査都市圏平均鉄道混雑率(2020年度)平均鉄道混雑率(2019年度)
東京圏107%163%
名古屋圏104%132%
大阪圏103%126%

※引用元:都市鉄道の混雑率調査結果(令和二年度実績)-国土交通省(令和3年7月9日)

上記からもわかるように、コロナ禍の2020年度は三大都市圏全てで大幅に減少しました。
特に東京圏は大きく減少し、2020年4月の1度目の緊急事態宣言の影響の大きさが見て取れます。

また先述の目安に当てはめれば、各都市圏ともにほぼ定員乗車に近い状態と言っても過言ではありません。

もちろん、路線・乗車車両毎に大きなバラつきがありますので、この混雑率はあくまで目安に過ぎません。
(平均鉄道混雑率の各都市圏の下げ幅も、大きなバラつきと言えるかと思います。)

しかし先述の通り、混雑率は輸送人員数と輸送力から算出しています。
言うまでもありませんが、混雑率が下がったということは、輸送人員数が大幅に減少しているということに他なりません。

その傾向は三大都市圏主要駅でも同様で、前年の駅利用状況から軒並み減少した結果となりました。

特に、

  • 休業や時短営業などの影響が大きかった繁華街
  • 本社機能や大企業が集まるような主要ビジネス街
  • ビジネス客、観光客、有料特急・新幹線などに乗り換える旅行客も多い都市圏の巨大ターミナル

この3点の特性をもつ主要駅は大変大幅な減少状況でした。

ビジネス街では企業がテレワークに切り替えたり、企業への訪問を控えてオンラインでのお打ち合わせなどに切り替える例が見られました。
特に大企業や本社機能が集中する東京のビジネス街ではその影響が強く、会社員が姿を消すという現象も度々報道されていました。

また旅行や帰省といった県をまたぐ移動の自粛が求められたことも一因と言えるかと思います。

今回の調査報告は「コロナ禍における鉄道混雑は、例年と比べてどのような変化があったか」という見方もできますが、しかし参考値として置いたとしても、「COVID-19の影響で鉄道利用率が大幅に減少した」ことは紛れもない事実です。

来年の調査報告(2021年度の調査結果)では1年の半分以上が緊急事態宣言発出下での生活だったこともあり、今年度調査結果からの更なる変化が予想されます。
来年、またこの調査結果を確認してみても面白いかもしれません。


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