「幸福度・満足度」と「年収」の関係性

「幸福度・満足度」と「年収」の関係性

「幸福度・満足度」と「年収」の関係性

突然ですが、先生が転職をお考えになったきっかけはなんでしょうか?
スキルアップのため、業務負担の軽減のため、ご家庭の事情のため etc…
様々な理由があるかと思いますが、なかには「年収アップのため」という方もいらっしゃるかもしれません。

以前、年収のお話をさせていただいたこともありましたが、高すぎる給与は幸福度の観点から言えば一概に良いとも言い切れないかもしれません。

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今回は、「幸福度・満足度(Well-being)」と「年収」の関係性に関してのお話です。

「Well-being」とは

直訳すれば「善き在り方」となりますが、日本語的にもう少ししっかりと翻訳すれば「その人にとって最善であり価値のある在り方」という意味合いとなります。

そして、この単語を簡潔に翻訳すれば「健康であること」や「幸福であること」、または「福祉」と翻訳されることが多いと言えます。

よく、この単語に関してよく引用されるのが、1948年に定められた世界保健機関(WHO)憲章の一文です。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」

引用:健康の定義|公益社団法人 日本WHO協会

また、この「Well-being」にも関連がある文章のひとつが「SDGs(持続可能な開発目標)」の「GOOD HEALTH AND WELL-BEING(すべての人に健康と福祉を)」です。

ちなみに日本で「福祉」の訳語として利用されることが多いのは、「Welfare」も同じですね。
しかしこちらはどちらかといえば「厚生(生活を豊かにして保つこと)」の方が意味として近く、この言葉のイメージは「与えられるもの」であり「受動的なもの」であることが多いと言えます。

一方で「Well-being」は「その人にとって最善であり価値のある在り方」であるため、「主体的に選ぶことのできる幸福」がイメージできます。

この二つの言葉の違いはその意味合いにも表れています。

近頃はこの意味合いから「Well-being」に「満足度」・「幸福度」の訳語が当てられることが多いので、もしかするとこちらの意味でこの言葉を見ることが多いかもしれませんね。

「年収」との関係性

さて話を戻しますが、転職されるにあたって、先生方は何を大事にされていますか?

様々な転職の条件の軸があると思いますが、転職の条件として、「年収」を気にしない方は少ないと思います。

しかし、第一条件として「年収アップ」を掲げるのは、少々リスクがあるかもしれません。
なぜなら、人生における「幸福度(Well-being)」と「年収」は、必ずしも比例するものではない、という調査結果があるからです。

「幸福度」と「年収」に関しては、2010年に報告された、アメリカのダニエル・カーネマン教授が調査会社と共同で行った面白い調査があります。

どれほど幸福かという質問に対する幸福度とその回答者の収入を調べたものです。

簡単にこの調査結果をまとめると、「感情的な幸福は、年収75,000ドルで頭打ちになる」というものです。
75,000ドルということは、日本円に換算すると800万円ほどになります。

ちなみに「アメリカ合衆国国勢調査(2018年)」によればアメリカ全土の世帯収入中央値は61,937ドルです。
※参考:New Data Show Income Increased in 14 States and 10 of the Largest Metros

州によって物価や賃金などが異なるため、一概にそうとは言いづらいですが、75,000ドルだとミドルクラス(生活をするのに苦しくないレベル)の収入となります。
(75,000ドルだとニューハンプシャー州やカリフォルニア州の世帯年収とニアリーイコールのようです。)

もちろん、そこで幸福度の上昇が完全にストップするわけではありません。

しかし、それまで年収に比例して増えていた幸福度が、年収75,000ドルを境に年収の上昇に比例しなくなり、幸福感は薄まっていくと言われています。

高所得でも幸福とは限らない?

また、日本の内閣府が公表した「満足度・生活の質に関する調査(2019年調査)」の一次調査でも、以下のような結果が出ています。

「人は平均的な年収に達するときに満足度が大きく上がる一方で、世帯収入2,000万~3,000万円を超えると総合主観満足度はゆるやかに低下する」というものです。

端的に言えば、世帯収入2,000万~3,000万円が満足度のピークとなるような山型のグラフになるということですね。

ちなみに厚生労働省が2019年に行った「国民生活基礎調査」によれば、日本の世帯年収の中央値は437万円、平均値がおおよそ552万円です。
(世帯年収ですので1人世帯なども含めた1世帯ごとの年収であり、また税金などが引かれる前の額ですので、手取りなどとは異なります。)

もちろん、給与は低いよりも高い方が良いと考えるのは、ごく自然なことです。
しかし、「年収アップ」自体を転職の第一条件としてしまうのは、「幸福度」や「満足度」の観点からすれば得策ではないかもしれません。

実際、所得が上がっても今までの生活通りという訳にもいかないことが多く、また日本には所得税という税金もあります。
そう考えると、税や支出はむしろ増えていくのではないか、という見方もできそうです。

それでも高所得を目指すということは、少しでも現状から幸福になりたいという想いを考えれば、当たり前の動きかもしれませんね。

最後に

年収は数字として提示されるため、一見して分かりやすい項目です。
しかし、長期的に見ればキャリアプランやワークライフバランス・職場環境など、年収以外にも大切なことは沢山ありますよね。

特に近年よく耳にするようになった「Well-being」の観点からも、何を大事にしたいか?を見直してみるのはいかがでしょうか。

転職活動で煮詰まっている先生がいらっしゃいましたら、今一度ご自身の軸で、転職条件の優先順位を見直してみるのもいいかもしれません。
なにかお困りごとがあれば、是非クラシスまでご相談ください。


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