今、医師に最も求められているスキルは「コミュニケーション力」!?

今、医師に最も求められているスキルは「コミュニケーション力」!?

今、医師に最も求められているスキルは「コミュニケーション力」!?

今、医師転職市場で「最も求められるスキル」は何だと思いますか?

転職を前に「自分の今のスキルだと相談できるのか」とご不安になる方もいらっしゃるかと思います。

これまで丸2年間のコロナ禍を経た医師転職市場は、非常に変化が激しい状況です。

2020年に大きく落ち込んだ医療機関側の採用意欲も底をつき、2021年度以降は新たな診療体制創りを目指した新規採用も積極的に再開される傾向にある段階となりました。

そして新たに2022年度を迎え、今、医師転職市場で「最も求められるスキル」は何か、改めて考えてみたいと思います。

今、医師に求められるスキル

私どもは連日、常勤/非常勤勤務を希望される先生方のご面接に同行させていただいております。
(もちろん、オンライン上の面接もあるため、その場合には同席という形になります。)

面接後、面接官の方よりフィードバックをいただくことが多いのですが、その際に必ず触れられるのが「面接を受けられた先生のコミュニケーション力」です。

面接で見られる「コミュニケーション力」は、その方の印象と同義とも言えます。

先生方のスキル面などは事前に書類などで確認されており、また先生によっては意欲やご希望なども事前に履歴書・職務経歴書などに記載されている場合もあります。

ご面接においては、事前に提出いただいた書類のご経歴などと相違がないかを確認する一方、お人柄などをコミュニケーション力を通して見ることが多いようです。

それは単にベラベラと話せば良いということでもなく、主に以下の項目が挙げられがちです。

  • 質問に正確に答えられているか
  • 目を見て話せるか
  • 声の大きさ/トーンは的確か
  • 話は端的で整理されているか

以上のように、非常に基本的なポイントを面接を通して見て・感じ取られていることがわかります。

これには面接される事務長などの事務方の職員のみがそうなのではなく、面接同席・施設見学でお会いいただいた現任の先生からもそのようにご印象を見られています。

ここまでの内容から、求められるスキルは至極一般的なもので、何も医師に限って求められるスキルではないとお感じになられたかと存じます。

実はその通りで、多くの医療機関で、採用したい医師に対しては一般職の方と同等か、むしろそれ以上のコミュニケーション・スキルが求められています。

では、なぜそこまでコミュニケーション・スキルが求められるのでしょうか?

この問題は、2001年医師国家試験からコミュニケーション能力を重視したり、2004年度に医師臨床研修制度が施行された時より、長く語られている事ではございます。

しかし、コロナ禍を経た現在の状況も合わせて、今一度見直して行きたいと思います。

なぜ医師にコミュニケーション能力が求められるのか

求人をお預かりする際に、どのような先生像をご想像しているか、と質問することがございます。

医師を採用する際にもちろんスキル面を求められているケースもありますが、コミュニケーション力さえあれば……とご回答いただくことも多い状況です。

コミュニケーション力を求められる理由としては、患者様や医療機関のスタッフとの信頼関係の構築という面が大きいようです。

働き方改革で一層のこと求められるタスク・シフティングでは、チーム医療などの重要さが挙げられますが、その中核とも言えるのがコミュニケーションです。

多少スキル面が不足していても、信頼関係があればスタッフからの指摘や共有などによりミスに気づきやすく、トラブル・医療事故の防止につながります。

また、これは患者に対しても同じであり、大きな不安を抱える患者様に対して、コミュニケーションによって安心感・信頼感を与えられます。

つまり、様々な問題を未然に防げる力としてコミュニケーション力が求められる傾向にあります。

そのような観点を基盤とした医療機関の運営方針が浸透しており、方針に沿わないと判断される医師は採用を見送られる傾向が広がっているように思います。

また、患者側から見れば、スキル・経験のある的確な診療をしていただける先生に診て貰いたいのは当然のことだと言えます。

でも、医療に詳しくない大多数の患者目線から見れば、先生方の診察スキルの判断は付きません。

患者側では、良い医師かどうかを医師とのコミュニケーションを通して判断する傾向にあり、これは欧米を中心とした多くの研究論文などで既に発表されている通りと言えます。

実際、患者に情報は伝わっているのか?

少し古いですが、2018年に行われた京都大学大学院とNTTコムリサーチによる「医師と患者のコミュニケーションに関する調査」によれば、病気や治療方法、薬に関する情報提供がどれほどされているのかについては医師・患者で認識の差異が見られました。

医師の4~5割が患者に十分に医療情報を提供していると回答しましたが、反して十分にされていると回答した患者は3割程度に留まりました。

調査では、一人あたりの診察時間の不足、診察環境、対話の認識の相違などが原因に上げられています。

質問しやすい雰囲気を心がけていると医師が思っていても、実際は患者が質問しづらいまま診察を終えてしまって納得できていない状態のため、あとから治療の方針決定などを覆そうとする方がいるのかもしれません。

とはいえ、患者側に何も非がないかと言えばそういうことではなく、実際に病識などのそもそもの知識がなく、メディアの情報を鵜呑みして来院する方もいらっしゃいます。

また患者側のコミュニケーション力の問題もないとは言えず、一方的に患者さんに話をされてしまい、本題になかなか入れなかったという経験をされた医師も少なくないことでしょう。

限られた診察時間で十分なパフォーマンスを引き出すためには、「情報の伝達」のための工夫をしてみるというのも選択肢の一つです。

例えば治療上の注意事項を紙で配布した上で軽く説明したり、同行者がいれば同行者にも話を聞いてみたり、患者さんの言葉を一度受容する言葉を告げてから説明するなど、工夫の仕方は様々です。

医師はサービス業だと言われることも増えましたが、まさしくその通りで、聞き上手・話し上手であるだけでなく、聞き取り力や聞きたい情報を会話から引き出す力といった部分も求められています。

理想の診療のために「したいこと・できること」のギャップをどう埋めていくか、取捨選択が必要です。

そしてその上で、もし診療時間が足りないのであれば、上長や事務方と対策を考えることも必要かもしれません。

コミュニケーション能力とは

一口に「コミュニケーション力」と言っても、先述の通り、ただ多言であったり、ただ外交的であったりすれば良いということではありません。

では、コミュニケーション能力とは何でしょうか。

コミュニケーション能力には、言葉そのものである『言語(Verbal)』と表情やトーン等から伝わる『非言語(Non-verbal)』があります。

『言語』では「伝える力」と「聴く力」が需要、対して『非言語』では「読み解く力」が重要です。

対患者の場面では、診察室や病棟での患者の佇まいやしぐさ、表情から伝わる印象(非言語)と実際の診察時に交わされる会話内容(言語)から、疑われる疾患やその時の状態を探る流れとなるかと思います。

必ずしも主訴がしっかりとしている患者さんだけではないため、患者さんとの話の際には少しの違和感も見逃さないように、と神経を尖らせている方も多いでしょう。

言うまでもありませんが、如何に迅速かつ正確な診断を下せるか?も医師のコミュニケーション能力には大いに関わってきます。

メラビアンの法則(7-38-55ルール、3Vルール)

『言語』と『非言語』でいえば、メラビアンの法則(7-38-55ルール、3Vルールとも呼ばれます。)が有名です。

メラビアンの法則上、言語情報、聴覚情報、視覚情報から得られる好意や反感の情報が矛盾していた場合には、視覚情報>聴覚情報>言語情報の順に優先されやすいとされています。

情報重要度
言語情報(Verbal)会話そのものの内容7%
聴覚情報(Vocal)声の大きさや話すスピード38%
視覚情報(Visual)表情や視線など見た目や仕草55%

例えば、目線が合わない方に「あなたのことは信頼しています」という言葉を一本調子で言われたらどうでしょうか?

各情報を切り離してみると、それぞれの情報から受ける印象が異なりますよね。

そうしてそのような場合には、「視覚情報の好意や反感の情報が優先されやすい」というルールがメラビアンの法則です。

話し手がどのような内容をしたのか、受け手に誤解されやすいようなコミュニケーションは控え、言語情報、聴覚情報、視覚情報のすべてが同一の印象となるよう好意や反感を伝える必要があります。

とはいえ、メラビアンの法則自体は好意や反感を伝える際の実験結果から得られた情報であるため、好意や反感を伝えないコミュニケーションの場合にはまた異なるルールになる可能性が高いということは頭の片隅に置いておくべきです。

ピンポンルール・信号機ルール・一時停止ルール

一般的なコミュニケーション力の向上として代表的なものといえば、「ピンポンルール」・「信号機ルール」・「一時停止ルール」です。

ルール名内容
ピンポンルール会話中、話し手になる割合を自分4:相手6になるように会話をする。
この比率は自分が多くても相手は自分との会話に興味がないと感じ、反して自分の比率が少なくても相手は自分との会話に興味がないと感じるそうです。
信号機ルール相手に質問するなどして、会話のバトンを30秒で渡す工夫をする。
話を聞く際、最初の30秒は注意して聞けるが、30秒を境に注意力が散漫になり、60秒経つと興味を失うそうです。

  • 0~30秒・・・青信号
  • 30~60秒・・・黄色信号
  • 60~90秒・・・赤信号

自分が受け手の時に相手の会話が途切れなさそうだなと思ったら、30秒間隔くらいで相槌を打つのも良いようです。

一時停止ルール会話を聞き、1秒止まってから自分が話し手となって会話を行う。
そうしないと話を遮られたように感じるそうです。

これらを意識するだけで大分会話が変わるという話ですが、正直、患者数が多いところではいちいちそれを意識するのは難しいかもしれません。

ただ、もし悩んでいる点や思い当たる点があれば、これらのルールを取り入れてみることもおすすめします。

進化するコミュニケーション

IOT技術の進化のみならず昨今ではコロナ禍による感染リスク回避の意味合いからも、リモート診察・遠隔診療の需要拡大が見込まれております。

診療システムの革新は進んでおりますが、医師と患者が直接対面することがない──文字通り画面越しの「遠隔」で、診断を下さなくてはなりません。

そのため、診察室に入って来る時の患者の動きや表情、雰囲気など肌で感じる「非言語」の部分の理解が実際に対面する診察と比べ難しくなってしまう可能性があります。

しぐさ、表情(視覚情報)で読み取りきれない部分を如何に「言葉」で引き出すかが、的確な診断を実現するにはより必要となるでしょう。

そのためには画面を通しても患者の抱える問題を「聞き出す力」を磨きたいとことですが、これは通常の診察でも「患者への語りかけ」を日々意識するだけで身に付ける事ができます。

疑われる疾患への質問のみでなく、「気になる事があれば何でも連絡してくださいね」など常に患者を気にかけている事を伝えるだけでも、患者の医師に対する信頼感は増します。

患者の「伝える力」と医師の「聞く力」が向上した状態で、より詳しい患者情報を集め正しい診断を導き出す事ができるのではないでしょうか。

患者にとって画面を通しての受診は、医師以上に慣れない環境ですので、如何に対面時のような安心感を与え患者が話しやすい雰囲気を作るかが大切だと思います。

最後に

もちろん、「良好なコミュニケーション」が取れれば、診療の「スキル」は重要ではない、ということではありません。

多くの先生方は、ご自身の診療スキルの維持・研鑽を実現できるご就業先を求めていらっしゃるかと存じます。

当社では、『円滑なコミュニケーションを通して風通しの良い働き易い環境か』と『どのような診療レベルを求めているか』を見極めた上で、それぞれの先生方のご希望に沿った医療機関のご提案を心がけております。
ご自身の転職先を決める際に重視するポイントをクラシスの医師専任エージェントにお伝えください。


>医師ジョブの求人紹介サービス

医師ジョブの求人紹介サービス

クラシスのコンサルタントが、先生の転職、バイト・非常勤の求人探しを全面サポートいたします。
情報収集から転職相談、条件交渉・面接設定など、全て無料にてご利用いただけます。
理想の求人探しをクラシスにお任せください!