【医師のダイバーシティ】女性医師が長く活躍しキャリアを築くためには?

【医師のダイバーシティ】女性医師が長く活躍しキャリアを築くためには?

【医師のダイバーシティ】女性医師が長く活躍しキャリアを築くためには?

時代の変化と共に浸透してきた「ダイバーシティ」という概念。

“多様性を受け入れること”を意味し、グローバル化・価値観の多様化などを背景に、近年日本でも耳にする機会が増えてきました。多様な人材の活用という点で経営においても重用される概念ですが、その一例としてあげられるのが女性活躍です。女性活躍=ダイバーシティというわけではありませんが、女性を含め様々なバックグラウンドを持つ人が活躍できるような仕組み作りが企業に求められています。

医療業界でも、近年は女性医師の増加に伴い、女性活躍を筆頭としたダイバーシティの観点からの施策が必要とされています。しかし、医療業界には男性文化が根強く残るのもまた事実です。では、女性医師が長く活躍しキャリアを築くためには、どうすればよいのでしょうか?

今回は、現在の日本における医師の男女比、女性活躍を阻む構造上の問題、女性医師のキャリア形成における職場選びのポイントなど、医師のダイバーシティを女性活躍という視点からご紹介します。

日本における女性医師の割合

令和2年の医師・歯科医師・薬剤師統計(厚生労働省)のデータによると、男性・女性それぞれの医師数は以下の通りとなっています。

 

男性医師数:262,077人(77.2%)

女性医師数:77,546人(22.8%)

 

全体における女性医師の割合は2割程度に留まり、全体の約8割を男性医師が占める構図となっています。

また年齢階級別では、下表の通り年齢が高くなるほど女性医師が占める割合は低くなっていることが分かります。

出典:令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(P5)

若い世代ほど女性医師の占める割合が高いことからも、女性医師の数は徐々に増えていることがわかります。2022年度の医師国家試験合格者に占める女性医師の割合は約3割で、合格率では男性を上回っていました。女性医師の数は徐々に増えており、今後も増えていくことが予想されます。

ただし、医療業界のダイバーシティは、単に女性医師の割合増を実現すれば良いわけではありません。女性医師の増加は、医師不足や診療科の偏在に繋がるといった声もあります。

また、女性医師の増加により、出産・育児などによる制約で現場が回らなくなるという懸念もあるようです。その背景には医師の労働環境を巡る構造上の問題があり、それを解決しないことには女性医師の活躍も含め、医療業界のダイバーシティを進めることは出来ません。

しかし、現状はダイバーシティの推進とは程遠い状況です。一例として、東京医科大学の不正入試問題は記憶に新しいでしょう。医学部の一般入試において、大学側が女子受験生に対して不利になるような得点操作を行い、合格者数を抑制していた問題です。このような得点操作が少なくとも10年以上続けられていたことが明らかになり、これが女性差別に基づくものとして大きな問題になりました。医療業界には、女性を敬遠する風土がいまだに残っているのです。

女性活躍を阻む構造上の問題とは?

女性が敬遠されるのは、「医師は男性の仕事」という価値観も影響しているかもしれません。しかし、現代においてはそのような価値観の影響よりも、多くは医師の働き方の構造上の問題に起因します。

分かりやすい例として、出産・育児などの理由で休業・時短勤務等をする女性医師の穴を、男性医師や子供のいない女性医師が埋める図式があげられます。本来であれば、休業する医師の代わりに臨時の人材を補充したり、時短勤務する医師の代わりに非常勤を採用したり、当直免除のフォローに回る医師にインセンティブを支給したりと、医療機関側が他の医師に過度な負担がかからないような体制を整えるのが理想です。しかし、実際問題として難しいケースも多いのです。

医師の増員で言えば、経営的な問題で追加の医師の採用が難しいケースがあります。また経営状況に関わらず、地域によっては医師不足の影響で採用が難しいケースもあるでしょう。

その他にも、先進医療・高度医療を扱うような病院では、スキルに見合った医師が簡単に見つけられないといったケースもあります。仮に増員が出来た場合にも、産休・育休に入っていた医師が復帰するタイミングで改めて体制の見直しが必要となるケースもあり、単純には考えられない面もあります。総じて言えるのは、一概に医療機関側が現状を見過ごしているわけではないということです。

 

多くの医療機関が、産休・育休・時短勤務などの制度は用意されていても、それらを円滑に運用するマネジメントの仕組みや予算、マンパワーが足りないという状況に陥っているのです。

一方、上記のような支援体制が行き届いている医療機関には人材も集まりやすく、人材が集まることでさらに支援体制が充実するという好循環が生まれます。そうなると、病院間格差はますます拡大していく一方です。

職場全体が上手く回るようにするためには、子育てに対する配慮や理解を深めるという属人的な対応から一歩踏み込み、人員の確保を始めとした医療機関全体での仕組みの構築が不可欠になります。

女性の事情に理解があり環境も整っている職場を選ぶ

このような状況の中で、長期的なキャリアを築いていくために働く女性医師個人ができることとして、まずは女性の事情に理解があり、環境も整っている職場を選ぶことが大事です。例えば、以下のような制度や環境が整っているかは重要なポイントです。

時短勤務制度

時短勤務制度は、3歳未満の子供を育てている職員が希望した場合、1日の勤務時間を6時間に短縮出来る制度です。育児・介護休業法によってすべての企業に義務化されており、医療機関にも適用されます。ただし、継続雇用期間が1年に満たない場合など、適用除外となる場合もありますので注意が必要です。

また、これとは別に厚生労働省が設けた短時間正社員制度というものもあります。こちらは、子育てに限らずライフステージに応じた多様な働き方が出来るよう、正職員のまま短時間で働ける制度です。こちらには法的な規定はありませんが、導入している医療機関であればより柔軟な働き方が可能になります。

託児施設

クリニックではまだ少ないですが、近年は院内託児所を設ける病院が増えています。また、院内ではなくても近隣の託児施設と提携していることも多いです。一般の託児施設と比べて預けられる時間帯・曜日などが柔軟で、病児保育や24時間保育に対応しているところも多く、費用補助が出る場合もあります。

ただし、院内託児所があるからといって必ず預けられるわけではないため注意が必要です。定員の関係で預けられない可能性や、利用が看護師優先となっているケースもありますので、託児所の有無だけでなく実際に利用が出来るかまで確認しておくと安心です。

当直や時間外勤務の免除

当直・時間外勤務に関しても、先述の時短勤務制度によって免除が可能となっています。3歳未満の子の養育者であれば、希望すれば所定外労働の制限・深夜業の制限を受けられます。

ただ、当直・時間外勤務の免除に関しては、権利として認められているものの後ろめたさを感じて悩む方も多いといいます。それに対して歯痒さを感じる場合には、そもそも医療機関全体として残業が少ない職場、当直なしの職場などを選ぶのも一つの手です。

職場の理解・雰囲気

制度面の充実に加えて、やはり職場の理解や雰囲気も大切です。子育て経験者や子育て中の医師が多い職場の方が柔軟に対応してもらえるケースが多いですし、互いにフォローし合う文化が根付いている職場であれば、変に気負わずに働けます。この辺りは入職前に把握が難しい部分ではありますが、職場見学や面接などで雰囲気を見たり、エージェントを活用したりするとよいでしょう。

また、働き方やキャリア形成に悩んだ際には、女性医師支援センターを頼るのも良いでしょう。

日本医師会女性医師支援センター 公式サイト

女性医師のライフステージに合わせたキャリア支援を行っており、様々な視点からの情報が得られます。

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今回は、医療業界における女性医師の活躍・キャリア形成などについて、医師のダイバーシティという観点からご紹介しました。

現在の日本では、女性医師は若い世代を中心に徐々に増えてはいるものの、割合としてはまだ全体の2割程度です。医療機関側も女性が働きやすい環境の整備に取り組んではいるものの、構図上の問題もあり、いまだに男性社会の名残をとどめています。そんな中で女性医師がキャリアを維持するためには、なるべく支援体制の整った環境に身を置くことが大切です。

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