男性医師の育児休暇の取得~2022年10月新設「産後パパ育休」も解説!

男性医師の育児休暇の取得~2022年10月新設「産後パパ育休」も解説!

男性医師の育児休暇の取得~2022年10月新設「産後パパ育休」も解説!

公園を歩いていると、平日・休日問わず、男性が育児に携わる姿をあちらこちらで見かけることができます。

平成時代にはイクメン・主夫といった言葉も出てきて、令和の今のとなっては「育児は夫婦で行うもの」という意識が若い人に根付いているように思います。

しかしながら頭ではそうとわかっていても、医師という職業だと特に忙しくなりがちで、なかなか現実が追い付かないという方も少なくないことでしょう。

今回は医師の育休取得の話と、2022年10月に施行する予定の「出生時育児休業(産後パパ育休)」の制度に関しても解説してまいります。

医師の休暇取得に関して

様々な職種で度々議論になるのが、「プライベートを職場に持ち込むことの是非」です。

特に医師や教職員といった職種では度々話題になりますが、「自身の子どもや配偶者のため」というプライベートな理由を持ち込みづらい環境が形成されがちです。

医師の場合には患者、教職員の場合には生徒・保護者という存在があり、なかなか自由に休暇を取るという環境がないという声は度々聞こえてきます。

しかし医師に関しては民間病院などに勤める場合、労働者として休暇を取得する権利があり、その際に生じる人員などの調整は労働者ではなく使用者(雇用主)が行う必要があります。

とはいえ、代替人員さえ確保できれば良いという訳にもいかないのが、難しいところです。

主治医として診ている患者の容体の急変、時間外のオンコール対応などを考えると、やはり休暇は取得しづらいと感じる方も少なくないでしょう。

医師の育児休暇取得の難易度

以前、男性の先生から「育児休暇って取得できるものなのでしょうか…?」と尋ねられたことがあります。

そのご質問に対して、「法律上は取得可能ですが、残念ながら勤務先により取得の難易度は異なります」というお答えをさせていただきました。

実際、男性の育児参画を推奨する法人などもあり、休暇を取得できる環境が整っている法人も散見されます。

将来的に、配偶者のことを考えてどうしても育児休暇が欲しいという場合には、そうした法人への転職も手かもしれません。

その一方で、確かに事務方は理解があっても、現場にいる医療スタッフの理解がないというところもあるため、残念ながら環境により取得難易度が異なるという結論にならざるをえません。

こういった問題は根強く、これは女性医師の場合にも産前産後休暇・育児休暇を取得しようとした際に同じ問題が起こりがちです。

しかしそれらの根本的な問題は「人材不足」であり、それは偏に「人材確保」や「人材育成」の努力が必要という部分に繋がってきます。

また、男性の育児への参画が当たり前となっている国では、女性のキャリア復帰と男性医師の育児参画率は高い傾向にあります。

環境が整わない日本では、残念ながら未だ途上にあります。

ところが政府は男性の育児休暇の取得を進めるべく、2022年10月に新しい制度「産後パパ育休」を施行しますので、その取得を目指すのも手かもしれません。

出生時育児休業(産後パパ育休)とは

2022年10月に「出生時育児休業(産後パパ育休)」が新設されることはご存じでしょうか。

これは、通常の育児休暇とは別の制度となり、原則休業の2週間前までに申し出ることで、出生後8週間以内に4週間まで休暇を取得できる制度になります。

対象者は、法律婚における出産女性の男性配偶者となります。

2021年の育児・介護休業法の改正に伴って新設される制度であり、世界的に見ても低い日本の男性の育児休暇取得率の改善を目的としています。

政府は2020年までに男性の育休取得率を13%まで引き上げる目標を掲げていました。

2021年に報告された2020年度の育児休暇取得率は12.65%で、2019年度実績の7.48%よりも上昇して初めて1割を超えたとはいえ、目標に届かない結果となりました。

共働きも増えた現代において、更なる男性の育児休暇の取得と育児参画を進めるべく、制度の改正を行った背景があります。

パパ休暇との違い

現行でも同期間に取得できるパパ休暇という制度がありますが、今回2022年10月の育児休暇の制度変更と産後パパ育休制度の新設によりパパ休暇は廃止となります。

名前が似ているので紛らわしいですが、違いをまとめると以下の通りとなります。

パパ休暇産後パパ育休
内容出生後8週間以内に育休を取得かつ終了した場合のみ、特別な事情などがなくとも再度育休を取得できる特例の制度

※通常の育児休暇と同枠(所属先の育児休暇の要件を満たしていないと取得不可能)

子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる制度

※通常の育児休暇とは別枠(男性版の産休イメージ)

分割取得が可能かどうか不可能(「育児休暇+パパ休暇」が分割取得のイメージであるため)可能(「産後パパ育休」自体も分割して2回取得が可能)
休業している間に働けるかどうか原則就業不可可能(労使協定を締結している場合のみ、労働者が合意した範囲で可能)

パパ休暇は育児休暇と同枠であり、「育児休暇+パパ休暇」の合わせ技で分割取得を可能とした制度というイメージです。

そもそも育児休暇は原則子の出生から1歳になるまで取得可能な1つのかたまりの休暇です。

そのため、一度育児休暇を取得したあとに例えば長くは休めないからと4週間で復帰してしまうと、その後はその子どものために再度の育児休暇を取得できません。

つまりこれは、短期的に復帰しなければならない可能性が考えられる男性のため、一度女性の負担が大きい時期に取得し、止むを得ず短期的に職場復帰したあと、もう一度育児休暇の取得を可能にするための制度なのです。

一方で、産後パパ育休は、男性版の産後休暇のイメージであるため、育児休暇とは別枠の休暇となります。

ここが大きな違いと言えますが、この休暇自体の分割取得が可能となります。

さらに産後パパ育休の場合にはその後に育児休暇の取得が可能であり、また同法改正により育児休暇も分割して2回の取得が可能となります。

長期間職場を離れられない場合においても、分割取得が可能になることから、より育児休暇の取得がしやすくなるだろうと期待されています。

今後、育児のご予定があるようでしたら、夫婦で育児休暇制度などについても一度しっかりと確認しておくのも良いかと思います。

最後に

現在の就業先で育児休暇の取得などが難しいという場合には、環境自体を変えてみることもご一考ください。

もちろん、納得して働き続けることができるのならば、転職しないことも選択肢の一つです。

男女の雇用の格差は是正されつつありますが、その後のキャリアにおける格差は未だに埋まらない部分があります。

育児に関しても同じことで、男女に平等に権利がありますが、その制度をしっかりと活用できているとは到底言い難い状況です。

もしもお悩みのことがございましたら、お気軽にクラシスの医師ジョブまでご相談いただけますと幸いです。


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