【医師ジョブマガジン】医療分野におけるデジタル技術の活用は急務!?

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◇ 医師ジョブマガジン 2023.07.11号 ◇
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近頃、外出から帰った後には、健康管理アプリを開いてその日の歩数などを確認しています。

急速に電子化が進むヘルスケアは、現在デジタルヘルス(ケア)と呼ばれています。
ちなみに言うまでもありませんが、先述の健康管理アプリも、このデジタルヘルスに含まれます。

とはいえ、国内においては昨年の統計で2~3割程度の方しかデジタルヘルスの活用経験がないというデータもあります。
世界平均が7割近いことを考えると、残念ながら日本におけるデジタルヘルスケアの活用はかなり遅れていると言わざるを得ません。

ところが、これが幼少期からデジタル技術に触れてきたミレニアル世代~Z世代(1981年~2012年生まれ)に絞って聞いてみると、利用率は45%程度を示しました。

以前も少し触れましたが、デジタルヘルスの市場規模は年々拡大しています。
昨年のデジタルヘルスの市場規模は、およそ32兆円超(2335億アメリカドル)となりました。

そもそもデジタルヘルスは、利用者にとってまだ満たされないニーズ(アンメットニーズ)が広がるブルーオーシャンです。

そのため、その性質上からもベンチャー企業との相性が良いと言えます。
既にヘルス系のベンチャー企業も多く生まれ、また大学や製薬企業などと共同開発を行う企業も増えています。

とはいえ、先述の通り日本はデジタルヘルスの活用が遅れています。
そしてその一因に、「医療へのアクセスの良さ」、「デジタル技術への信頼性の低さ」が挙げられます。

日本の受診回数は年12.9回とOECD各国平均の2倍もあり、これは医療へのアクセスの良さの反面、患者のアクセスが「良すぎる」という問題点も浮き彫りにしています。

またデジタル技術に関しては、信頼性の低さが順応性の低さにも表れています。

2021年のアメリカの大手会計事務所の調査によれば、「新たなテクノロジーに順応できるかどうか」という質問に「自信がない」と答えた方は日本が40%という結果になりました。
ちなみに世界平均は14%。かなり離されていることがわかります。

では日本の若い世代(24~35歳)に絞るとどうかというと、それでも33%と日本の全体平均と大きくは変わらない結果になりました。

つまり他国と違って、ヘルスケアに関しては、日本ではデジタル技術よりも医師の診療の方が信頼度が高い状況にあります。

また多くの日本の問題・課題の根幹として人手不足があり、デジタル技術によって解消しようという姿勢も多く見られます。
そのため、デジタルヘルスの普及よりも、その効果が見えやすい医療DXなどの診療効率化が進められがちです。

しかし利用者(患者)側の変革という部分も考えれば、本来は同時並行が理想です。

先生方としては複雑な心情があるかもしれませんが、医療分野におけるデジタル技術の活用は全体的に急務であると言えるでしょう。

※このコラムは2023年7月に配信した記事です