外科医のキャリアプランは?具体的なパターンとポイント

手術による治療を特徴とする「外科医」。

医師の花形と言われる外科医ですが、体力的な負担も大きく、他の診療科と比べて寿命が短いとも言われています。医療技術の進歩によって外科医の寿命は伸びると予想されているものの、定年まで第一線で働き続ける医師は多くありません。

外科医のキャリアはライフステージの変化にも左右されやすく、折に触れて今後のキャリアについて再考する機会も多いでしょう。セカンドキャリアをどう歩んでいくべきかというのは、多くの外科医が悩む部分ではないでしょうか。

そこで今回は、外科医がキャリアプランについて考える際のポイントや、具体的なキャリアのパターンについて詳しく解説します。

外科医としてのキャリアをどう考える?

医師のキャリアが多様化するなかで、診療科を問わず外科医もキャリアプランを考えることが大切です。
外科医不足が深刻化する昨今、若手のうちは深くキャリアプランを考えなくともポジションに困ることはないでしょう。しかし、外科は手術手技がものをいう領域のため、多くの外科医が生涯現役でい続けるのは難しいと言われています。

かつては医局制度が医師のキャリアパス形成をバックアップしており、医局の指示に従っていれば順当にキャリアを積むことが可能でした。しかし、現在は状況も変化し、医局に所属しない医師や早い段階で医局を離れる医師も増えています。医局に頼らずにキャリア形成をするためには、自分自身で長期的なキャリアプランを考え、経験を積んでいくことが必要です。

外科医のキャリア選択は、大まかに「外科医にこだわる道」と「新たな方向に進む道(キャリアチェンジ)」の二つが考えられます。プランを立てる際には、「将来的にどのように活躍したいのか」や「どのような働き方を希望するのか」などを考えることが重要です。

女性外科医がキャリアプランを考える際のポイント

医師として活躍する女性は増えているものの、外科医として働く女性は未だに多くありません。外科医は男性の割合が圧倒的に高く、女性外科医の場合、身近にキャリアのロールモデルがいない場合も多いでしょう。

女性外科医がキャリアプランを考える際には、妊娠や出産などのライフイベントを考慮する必要があります。外科医は他の診療科と比べて修行期間が長いと言われており、夜間の呼び出しや緊急対応なども多く、ハードな働き方が求められます。キャリアにおいて重要な時期である30代前半は出産や子育てが重なりやすい時期でもあり、女性の場合はそれによってキャリアを断念せざるを得ないケースも少なくありません。

女性医師が外科医としてキャリアを継続するためには、勤務先の上司や同僚からの理解、家族の協力が不可欠です。また、院内保育所がある職場や子育て支援に力を入れている職場など、子育てをしながら働ける環境を選ぶことも大切になります。

外科医としてキャリアを積む2つのパターン

外科医としてのキャリアパターンは、大きく分けて特定の専門領域を極める道と、幅広く外科全般の診療に携わる道の2つのパターンが考えられます。ここでは、それぞれのパターンについて解説します。

専門領域を極める

一つ目は、専門領域にこだわって外科医としてのキャリアを積んでいくパターンです。

具体的には、急性期病院で専門外科に所属し特定の領域における外科治療を極め、将来的にオペや後進の育成・指導にも携わっていくような働き方になります。難易度の高い手技や術式を身につけるために、専門医や指導医などの資格取得を目指すという選択肢もあります。キャリアアップに役立つほか、資格の取得が条件アップに繋がるケースもあります。

外科医としての幅を広げる

二つ目は、専門領域だけにこだわらず、広く外科全般の領域で活躍していくパターンです。

専門外科だけでなく、一般外科として外科診療全般をカバーできる外科医も必要とされています。たとえば、市中病院や地域に密着した外科などでは専門分科を設けず、一般外科で幅広い外科疾患を扱う施設も多いです。そういった施設では、簡単な施術も含めフレキシブルに対応できる外科医のニーズが高くなります。

また、外科医としてのがん治療の経験を活かし、緩和ケアチームの一員として働くという選択もあります。

外科医からキャリアチェンジする3つのケース

体力的な負担の大きい外科医は、早い段階からセカンドキャリアを検討し始めるケースも多いです。外科医にこだわらず内科をはじめとした他領域に転科すれば、医師として長く働いていくことが可能になります。

ここでは、外科医のキャリアチェンジとして3つのケースをご紹介します。

同領域の内科へ転科する

一つ目は、外科から専門臓器の変わらない内科へ転科するパターンです。
具体的には、消化器外科から消化器内科、呼吸器外科から呼吸器内科、心臓血管外科から循環器内科などが挙げられます。整形外科や脳神経外科は、リハビリテーション科でのニーズも高いです。

これまでの専門性を活かせるため、転科ハードルはさほど高くないと言えるでしょう。知識や技術の共通点も多いため、業務のイメージも湧きやすく、問題なく移行できるケースがほとんどです。

一般内科へ転科する

二つ目は、一般内科へ転科するパターンです。
外科医のキャリアチェンジとして最も多いのが、一般内科への転向と言われています。診療科としての需要も高く、内科的な観点だけでなく外科的な観点も備えた内科医としての活躍が期待されます。

また、ジェネラリストとして総合診療科で活躍する外科医もいます。外科的な処置や治療の提案を行う上で、外科医としての豊富な経験を活かすことが可能です。

ただし、一般内科として働く場合は専門外の対応も求められるため、学び直しが必要なことも多いでしょう。無理なくキャリアチェンジを進めるには、同領域の内科へ転科した後に一般内科へ移行するという選択肢もあります。

在宅医療(訪問診療)に転進する

三つ目は、在宅医療(訪問診療)に転進するパターンです。
外科医として培った術後の全身管理能力や緊急対応能力は、在宅医療でも重宝されます。簡単な外科的処置を迅速に行える点や、処置の際のフットワークの軽さなどは、外科出身ならではの強みです。

また、褥瘡や胃瘻トラブルなどの対応経験は、在宅医療でも役立ちます。整形外科医であれば、リハビリや運動器疾患への対応が武器になるでしょう。指導体制の整った医療機関も多いため、未経験からでも必要なスキルを身につけて活躍することが可能です。

外科医としてのキャリアに悩んだときに取るべき行動

外科医であれば、遅かれ早かれいつか必ずメスを置くときが訪れます。しかし、そのタイミングやその先のキャリアについて、これで良いのかと悩むこともあるでしょう。
ここでは、外科医がキャリアに悩んだ際に取るべき行動について解説します。

自分の理想となる人に相談する

今後のキャリアに迷いがある場合には、一度自分が考えるプランのモデルとなりそうな人に意見を聞いてみると良いでしょう。転職に関して悩んだときは、転職経験のある医師に相談すれば、参考になる話が聞ける可能性が高いです。

ただし、転職経験のある医師でも、勤務先の上司や先輩への相談は避けた方が無難です。転職を検討していることを周囲に知られると、居づらくなったり逆に引き止めにあったりする可能性もあります。転職はセンシティブな話題のため、勤務先以外の医師に相談した方が客観的な意見を聞けるでしょう。

転職エージェントに相談する

身近にロールモデルがいない場合には、転職エージェントに相談するのがおすすめです。転職エージェントは同じようにキャリアに悩む多くの医師の転職に携わっており、豊富な選択肢を持っています。自分では気付けなかった可能性や、潜在的な能力を見出してくれることもあるでしょう。

自分の理想とするキャリアプランに対して、専門家としての忌憚のない意見をもらうことも可能です。過去のキャリアや実績から、自分の市場価値がどの程度なのかも客観的に判断してもらえるため、現実的な選択がしやすくなるでしょう。

まとめ

今回は、外科医のキャリアプランについて詳しく解説しました。

外科医は手術を行うという特性上、生涯現役でい続けるのは難しいとされています。外科医にこだわるのか、キャリアチェンジを図るのか、将来どのように働いていきたいのかを踏まえてプランを立てることが大切です。

外科医としてのキャリアは、専門領域を極めるパターンと、広く外科全般の診療に携わるパターンが考えられます。また、セカンドキャリアとして転科を検討する場合、外科経験を活かしながら内科医や在宅診療医として活躍していくことも可能です。

キャリアに悩んだ際には、自身のロールモデルになりそうな人に話を聞いてみると良いでしょう。身近に話を聞ける人がいない場合には、転職エージェントに相談するのがおすすめです。同じようにキャリアに悩む医師の転職事例を聞いたり、今後のキャリアについて相談したりすることが可能で、相談したからといって転職を強要されることもありません。

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