【医師ジョブマガジン】公務員の身分とみなし公務員の身分

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◇ 医師ジョブマガジン 2023.06.27号 ◇
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先週、奈良県の県立病院勤務の眼科医が、医療機器メーカーより金銭を授受した収賄容疑で書類送検されました。
この事件は、眼科医が公務員であったために収賄罪に問われましたが、当の眼科医は「公務員だという認識がなかった」と発言したそうです。

ところで、先生方は「この病院に勤めた時には公務員になるのか?」ということを気にされたことはありますでしょうか。

ご存じかと思いますが、公務員の場合には公益性の観点から、無許可の副業や金銭等の授受、政治活動などが禁止されています。
公務員は規定上で注意が必要な事項が多いため、身分が公務員かどうかは気にされた方が良いかもしれません。

現在、「公務員」は、法律に則り2種類あります。

● 地方公務員
県立・市立病院などの自治体が運営する施設に勤務する者など
● 国家公務員
医系技官・検疫医療専門職・駐在医官・防衛医官・矯正医官などの省庁などが採用する者など

と、ここで話が終わればよかったのですが、さらに「みなし公務員(準公務員)」と呼ばれる種別もあります。

みなし公務員とは、身分は公務員ではないものの、刑法上、公務員の扱いを受ける者のことです。
この種別がある理由は、職務内容の公益性の高さから公務員の職務の代行とみなされ、公務員に準じた身分であると判断されるためです。

みなし公務員かどうかを見分ける方法は、各団体に関する法律を読むことです。
各法律に「法令により公務に従事する者とみなす」と一文があれば、身分はみなし公務員となります。

医師の場合には、みなし公務員だと概ね下記の病院勤務の方が中心のようです。
・NHO(国立病院機構)病院の勤務
・JCHO(地域医療機能推進機構)病院の勤務
・KKR(国家公務員共済組合連合会)病院の勤務
など

しかしさらにややこしいことに、県立病院・市立病院の中でも、管理者によっては公務員ではない場合もあります。
例えば、管理者が「一般地方独立行政法人」の場合には公務員の身分ではなく、他の第三者(民間法人など)に運営などを委託している場合にも公務員の身分ではありません。

※このコラムは2023年6月に配信した記事です