医療分野のICT化―電子カルテとオンライン診療の例から解説!

医療分野のICT化―電子カルテとオンライン診療の例から解説!

医療分野のICT化―電子カルテとオンライン診療の例から解説!

情報化社会において、様々な業界で電子化・データ化が推進される昨今。
医療分野でもICT化が進められており、働く側にもITリテラシーが求められる時代になってきています。

ところで、ICT化という言葉がどういう意味かご存じでしょうか。
今回は医療分野におけるICT化に解説してまいります。

ICT化とは

医療領域でICTと言えば、「Infection Control Team(感染制御チーム)」でしょ?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、昨今「ICT」と言えば、「ICT化」を思い浮かべる方も増えてきました。

ICT化と言った場合、「Information and Communication Technology」の略称を指します。
日本語に訳せば、「情報通信技術」という意味になります。

つまり、ICT化とは情報通信技術を活用して情報連携の迅速化・効率化・質の向上や分析の高度化を進めることを意味します。

政府は地域包括ケアシステムの構築という面からも医療分野のICT化を進めており、その一つとしてマイナンバーカードの活用なども検討されてきました。

医療分野のICT化

よく医療分野のICT化をペーパーレス化と同義としている方も見かけますが、ICT化とはそうではありません。

先ほども申し上げた通り「効率化」も進める必要があります。
カルテ、レセプト、フィルムといったものを紙から電子にするだけでなく、デジタル上のコミュニケーションや分析なども含めた一連の事象をICT化することで効率的に進めることを目指します。

詳細は後述しますが、例えばセルフレジなども電子カルテや今後開始予定の電子処方箋があってこそ、一連の流れとして出来得ることの一つでもあります。

実際に令和4年の診療報酬改定においてもICT化を見据えた項目が多く見受けられますので、やはり無視できないと言えます。

医療分野のICT化―電子カルテ

医療分野におけるICT化の代表的なものとして挙げられるのは、やはり先述の通り「電子カルテ」です。

元々、欧米の一部の国では、「カルテは病院ではなく、患者に紐づくもの」という認識から転院時にカルテが患者についてくるのが当たり前という場所もあります。

病院毎・法人毎の管理が基本である日本ではあまり考えられませんが、この転院時のカルテ・治療方針の共有は今後電子カルテの導入が進めば当たり前になる日も来るかもしれません。

厚生労働省が行った医療施設調査によると、2017年時点での電子カルテの普及率は以下の通りになっています。

業態電子カルテ普及率
一般病院46.7%
一般診療所41.6%

2008年時点での普及率は病院・診療所共に約14%でしたので、約10年の間に大幅に普及が進んだことがわかります。

2022年現在ではさらに普及が進んでいると予想され、加えて電子カルテに連携する様々なシステムも誕生しています。
先述の通り、電子カルテ、オーダリングシステム、そして今後開始予定の電子処方箋などまで、他職種連携の面だけでなく、情報の一元管理という面でも一気に進んでいます。

政府主導のもと医療のICT化が加速する今、医師の転職においても、電子カルテをはじめとしたPC操作スキルは一つのポイントになります。

例えば、採用側が求めるスキルとして、手技などの他に“電子カルテが使えること”をあげられる場合も多いです。
また定年後の再雇用枠でも、“電子カルテが使用できれば年齢不問”とするケースもあり、長い目で見てもITリテラシーの高い先生は重宝される傾向にあります。

医療分野のICT化―オンライン診療

コロナ禍で最も進んだ分野と言っても良いのが、このオンライン診療です。

元々2018年にオンライン診療の促進が言われ始めましたが、大きなきっかけとなったのが2020年4月10日の要件緩和です。
実際、2021年の厚生労働省の報告によれば、2020年4月24日時点で10,812医療機関が導入していた電話やオンラインによる診療ですが、2020年5月末で15,226医療機関に増加。
以降、緩やかに増加し続けています。

とはいえ、全医療機関は110,898医療機関ですので、それでもまだほんの一握りというのが実情ではあります。

そもそもオンライン診療では、実際に患者に対面して診療することができないため、どちらかといえば直接来院できない理由のある患者の診療が基本となっていました。
要件緩和によって一部初診患者の診療も可能になったとはいえ、未だ難しい領域はあることは変わりませんので、課題は多く見受けられます。

しかしウィズコロナという時代背景や令和4年度の診療報酬の改定という背景も重なり、このオンライン診療の領域はもうしばらくは緩やかな拡大傾向が続くと思われます。

また、このオンライン診療の領域で大いに期待されているのが「離島・へき地医療」です。

総務省が2020年に報告した情報通信白書でも、オンラインによる遠隔コンサルテーションなどの例が取り上げられていました。
離れた医師間での患者の診療情報などをオンラインで共有し、さらにオンライン上でその診療情報などを見ながら治療方針を相談するものです。
これによって医師の地域偏在化という課題への糸口になるのでは、と期待されています。

最後に

これらはまだまだ一例ではありますが、無視できない分野でもあります。

実際、学会のオンライン開催や、教育現場におけるオンライン授業、オンラインでの講習会など、既にもう何度も参加しているという方もいらっしゃることでしょう。
これらもICT化の一端であり、特に学会のオンライン開催などは移動などが不要な分、人間同士のつながりの希薄さというICT化で補えない領域での懸念も出ています。

しかしながら働き方改革による業務効率化の追求など、今後の動きを考えれば、まだまだ広がっていく領域です。

さて、ここまでのお話で、これまで電子カルテに触る機会がなかった先生や、PC操作が苦手な先生は不安を覚えられたかもしれません。
しかし、ご安心ください。
最近はタスクシフティングの観点から医療クラークのサポート体制が整っている医療機関も増えていますし、希望によって電子カルテの研修が可能な医療機関もあり、これから慣れていくことも可能です。

直近のお勤め先が紙カルテで電子カルテの使用に不安を感じている先生なども、サポート体制の整った医療機関をお探ししますので、是非ご相談いただければと思います。


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