【医師ジョブマガジン】高齢化社会に向けた「認知症基本法」の成立

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◇ 医師ジョブマガジン 2023.06.20号 ◇
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深刻化する日本の超高齢化社会。
高齢化社会が進むことで、切り離すことができないテーマといえば【認知症】ですよね。

認知症は誰もが罹りえる疾患であり、国内の認知症症例数は年々増加傾向にあるというのは周知の事実。
その認知症ですが、厚生労働省の推計では2025年に65歳以上の方の5人に一人が罹るという話も聞こえます。

そんな情勢の中、つい先日も認知症基本法が成立し、話題になりました。

「認知症基本法」とは、認知症がある方でも尊厳を保ち、希望をもって暮らすことができるようにする支援や、認知症予防のための施策を定める法律です。

基本理念としては下記が挙げられます。
● 認知症の人やその家族の意向を尊重すること
● 地域での生活・共生に向け、認知症に対する国民の理解を深めること
● 保険医療サービス・福祉サービスが切れ目なく提供されること
● 家族に対する支援を行うこと
● 認知症・認知機能障害の予防、診断、治療、リハビリテーション、介護に関する研究開発を推進し、活用すること
● 教育、地域づくり、雇用、保健、医療、福祉など関連する分野で総合的に取り組むこと

日本は世界に先駆け、超高齢社会となる国です。

認知症の要因の一つが加齢であることから、高齢化が進むと自然と認知症の高齢者も増えていくことは言うまでもありません。

またご存じかと思いますが、治療薬に関しては、現在認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の新型治療薬の承認の検討がなされています。
上手くいけば今年中に承認されるとの話ですが、どこまで実用的なのかなどの懸念点もいくつか指摘されています。

当事者の立場に立って考えれば、基本的には認知症そのものとの「共生」を求められます。

今後、さらに認知症の方・ご家族も安心して暮らすことができる「共生」社会をつくることができるのか。

法律を策定して、それで終わり、では本末転倒です。
今後も、私たちに身近な交通機関の整備や雇用・就労の援助などの様々が取り組みが注目されます。

※このコラムは2023年6月に配信した記事です