【医師ジョブマガジン】「熱中症特別警戒アラート」とは

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◇ 医師ジョブマガジン 2024.07.09号 ◇
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7月に入り、本格的に熱中症を警戒する季節となりましたね。
梅雨時期でもあるため、高温多湿な日本ならではの夏の暑さは年々確実に増している気がします。

実際、地球温暖化に伴い、猛暑のリスクは年々拡大しています。

2020年から全国を対象に運用している「熱中症警戒アラート」の発表回数は昨年は1232回。
2年前と比較しても倍増しています。
さらに昨年は日本全国全てのエリアで熱中症警戒アラートが発表されるなど、観測史上最も暑い夏となりました。

また、総務省の発表によりますと、昨年熱中症で救急搬送された人は累計およそ90,000人。
その内、熱中症により亡くなられた方は過去10年間で最多の1,555名にも上りました。

このような背景から2024年4月から新たに創設されたのが、「熱中症警戒アラート」の一段上の「熱中症特別警戒アラート」です。

過去に例がない危険な暑さが予想される場合に暑さへの「気づき」を促し、熱中症への警戒を呼びかけることを目的としています。

<2種類のアラートの違い>
◇ 熱中症警戒アラート
● 発表基準
都道府県内いずれかの観測地点の翌日・当日の最高「暑さ指数(WBGT)」が33以上と予測
● 発表時間
前日 午後5時頃

◇ 熱中症特別警戒アラート
● 発表基準
都道府県内すべての観測地点の翌日の最高「暑さ指数(WBGT)」が35以上と予測
● 発表時間
前日 午後5時頃
当日 午前5時頃

そもそも「暑さ指数」とは「湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature)」のことで、熱中症予防のため酷暑の中で労働・運動するリスクを算出すべく1954年のアメリカで定められた指数です。

厳密には気温、湿度、日射量などをもとに算出するもので、日本では指数28以上から熱中症による救急搬送者が急増しているという過去のデータもあります。

また熱中症特別警戒アラートの場合には更なる警戒のため、呼びかけの際に「健康に関わる重大な被害が生じるおそれ」や「運動・外出の禁止」、「イベント中止・延期の推奨」、「リモートワーク推奨」という文言が用いられています。

また室外だけでなく、室内でも年齢問わずだれでも熱中症になる危険性がありますのでとにかく注意が必要です。

先生方やコメディカルも含め、本来であれば時間帯関係なく水分を携帯し小まめな水分補給が必要ですが、手術中などではなかなか難しいのが現状です。

今後、日本の高齢化社会が進むことで、搬送者数の増加や病床ひっ迫なども懸念点の一つといえるかもしれません。

熱中症に関する情報はニュースや天気予報はもちろん、環境省及び気象庁のサイトで確認ができます。
また環境省ではLINEアプリを活用した情報提供や、設定した暑さ指数を超えた場合の配信通知設定なども利用可能です。

自分の身を守ることはもちろん、ご家族に高齢者や乳幼児など熱中症に特に注意が必要な方が周りにいる方は、しっかり涼しい環境で過ごせているのかという安全確認も含めて活用されるのもいいかもしれません。

このコラムは2024年7月に配信した記事です