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◇ 医師ジョブマガジン 2023.11.07号 ◇
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咽頭結膜熱=いわゆるプール熱の流行のニュースを目にします。
プール熱は特に子どもを中心に広がりやすいと言われているのはご存じかと思います。
上記にプールと書かれている通り、本来は6月ごろから徐々に流行し、7~8月頃が流行のピークとなります。
しかし、今年は秋になっても流行が続く異例の事態となっています。
国立感染症研究所の報告では、10月末の1週間のプール熱患者数が過去10年で最多との記述もみられました。
全国的に拡大しているものの、特に東京都・大阪府・福岡県といった大都市圏で拡大しているのも特徴的と言えるでしょう。
外来診療を受け持たれている小児科の先生、総合診療を提供する先生や、ご家族向けの在宅診療オンコールドクターを引き受ける先生方は、実感する場面が多いのではないでしょうか。
先述の通り、患者の8割は5歳以下の小児。
ご家族にお子様がいらっしゃる場合や、小児科で働く・開業されている先生方は、特に注意が必要です。
プール熱の原因であるアデノウイルスは、新型コロナウイルスやインフルエンザとは違い、アルコール消毒が効きにくいのも特徴の一つです。
そうなると危険なのが、特に医療機関に常時置かれている絵本・おもちゃや、小児向けのトイレ・オムツ台です。
正直、いくら消毒しても受診者数を考えると間に合わないのも事実ですよね。
そんなアデノウイルス、改めて記載しますと、消毒には高圧蒸気や塩素、エチレンガスなどの使用を推奨されています。
とはいえ、なかなかこういった消毒を小まめに行うのは難しく、お子さんが触るものへの消毒はどう考えても現実的ではありません。
やはり手指消毒・手洗い・うがいという一般的な感染予防が推奨されています。
今年は通常の感染症流行のシーズンとズレた傾向などが続いていることから、様々な感染症の急拡大が引き続き懸念されています。
年末まであと2か月。
これから一層乾燥する季節となりますので、引き続き動向は見守っていきたいですね。
このコラムは2023年11月に配信した記事です