年齢やライフステージ、今後のキャリアプラン等によって、転職活動で重視すべきポイントは様々です。
しかし、どんな条件を重視するにあたっても、出来れば“ホワイトな職場”で働きたいという思いは共通してお持ちではないでしょうか。
ただ、一口に“ホワイトな職場”といっても、その実態を把握するのはなかなか難しいものですよね。
今回は、ホワイトな職場を見分けたい方にお送りする、指標となる制度のお話です。
そもそもホワイトな職場とは
そもそもホワイトな職場って何だ?と思いますよね。
正確な定義などはなく、俗に以下の項目が複数当てはまればホワイトな職場(ホワイト企業)と称することが多いようです。
- 残業が少ない
- 土日休み/完全週休2日制
- 有給休暇の消化率が高い
- 従業員の女性割合が高い
- 女性の管理職が多い
- ダイバーシティの取り組みに積極的である
・・・など
結局、曖昧なのか……と思われたかもしれませんが、後述の通り、それを可視化しているところもあります。
とはいえ、実際に入職してみないとわからないことも多いのも事実です。
医療機関の場合は事情が異なる?
しかしながら、これが病院などの医療機関の場合には少し事情が異なってきます。
病院に勤める場合、女性割合は高くなりがちです。
というのも、「従業員」は、医師だけでなく全職種の従業員となるため、1病院内の勤務人数として多い職種(看護師など)に引っ張られて女性割合が高く出やすいようです。
ちなみに一般企業で言えば、1社あたり45%程度が女性従業員というのが平均的な割合のようです。
ただし2019年に行われた総務省の「⼥性活躍の推進に関する政策評価」によれば、医療・福祉業の女性従業員の割合はおよそ65%弱。
調査の方でも看護師・介護士といった職種の女性比率が高いため、医療・福祉業の女性従業員の比率の高さに繋がっていることが触れられています。
ご存じのとおり、医師の場合は2018年の医師・歯科医師・薬剤師統計で男性比率が80%弱という統計もあり、まさに対極の存在とも言えますね。
また、有給休暇の消化率に関しては、現在法律上「フルタイム勤務の場合、最低年5日の取得が義務化」されているため、常勤先がある場合には少なくとも年5日間は取らなくてはなりません。
そのために夏季休暇などを有給休暇の消化日として充てるケースも増えているのも事実です。
実際に皆さんが考える「自由に取得できる有給休暇の消化率」は数字だけではわからず、別途確認してみないといけないことも……。
では、一体何を信じればいいのでしょうか。
表彰制度・認定制度
職場の実態を目に見える形で把握したい方には、一つの指標となるものとして、国の関係省庁や各自治体による表彰制度・認定制度があります。
いくつか制度がありますが、その一部を紹介してまいります。
こちらは経済産業省が創設した「健康経営優良法人認定制度」です。
従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する優良な法人を「見える化」し、表彰するための制度です。
認定基準には法人の規模などに応じて細かな条件があり、特に健康管理という文字からもわかるように従業員の健康管理に関する調査などがあることが特長的です。
詳細は省きますが、法人の規模などにより異なる細かな条件をクリアしていなければ、認定を受けることは出来ません。
さらに現在では、各部門で大変優れていると認められた法人には別途マークも異なる上位層用の認定もなされています。
そのため、この健康経営優良法人として認定されることは、 「ホワイトな職場」であることの公的な証明とも言えます。
厚生労働省が創設したくるみん認定も、広く知られているマークの一つと言えます。
次世代育成支援対策推進法に基づいて定める「行動計画」に定めた目標を達成、かつ要件を満たした企業が申請を行うと認定されるものです。
特長は何よりも「子育てサポート企業」としての認定であることで、マーク上部の数字は認定年、マーク周囲の☆の数はこれまで認定を受けた回数となり、法人の認定年数などが目に見えてわかります。
また、さらに高い水準をクリアするとプラチナくるみん、不妊治療と仕事との両立をしやすい職場環境整備に取り組む企業として足されるプラスマークなどのマークもあります。
こちらのマークは自社商品や広告にも入れることができるため、他のマークに比べると見かける回数は多いかと思います。
同じく、厚生労働省が設置した「えるぼし認定」という制度もあります。
女性活躍推進法に基づいて公開された女性の活躍推進に関する取り組みの実施情報から、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業を認定するものです。
項目は主に女性の採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコースといった項目を一定の要件でクリアしている必要があります。
通常の方で1~3段階、また、さらに厳しい要件などをクリアした場合にプラチナ認定を受けられます。
こちらも厚生労働省が設置した「安全衛生優良企業認定 ホワイトマーク」という認定制度です。
しかし、取得条件のハードルの高さから、実際の認定企業数が大変少ないマークです。
もちろん、その分、ホワイト企業であることの何よりも高い指標になるため、取得されている企業・団体などを調べてみるのもおすすめです。
各自治体の認定制度も数多くあり、逆に何があるのかわからなくなってしまうかもしれません。
認定制度は国の認定制度などと同じく、働き方改革の面から設置された制度、女性の労働という面から設置された制度、育児支援の面から設置された制度と背景は様々。
しかしどれも「働きやすい企業・団体を表彰する」という面では、同じ想いのもと設置された制度と言えます。
都道府県単位だと47都道府県すべてに制度があります。
さらに1都道府県内でも複数の認定制度が存在している場合があることも特長だと言えます。
あまりに多いため、こちらでは政令指定都市を抱える道府県と東京都の一部認定のみ掲載します。
- 北海道 北海道働き方改革推進企業認定制度
- 宮城県 みやぎ働き方改革宣言企業・実践企業支援制度
- 埼玉県 多様な働き方実践企業認定制度
- 千葉県 社員いきいき!元気な会社宣言企業
- 東京都 ライフ・ワーク・バランス認定企業
- 神奈川県 かながわ子育て応援団
- 新潟県 ハッピー・パートナー企業登録制度
- 静岡県 「男女共同参画社会づくり宣言」推進事業
- 愛知県 愛知県ファミリー・フレンドリー企業制度
- 京都府 「京都モデル」ワーク・ライフ・バランス推進企業認証制度
- 大阪府 「男女いきいき・元気宣言」事業者制度
- 兵庫県 ひょうご仕事と生活の調和推進企業認定制度
- 岡山県 おかやま子育て応援宣言企業
- 広島県 広島県仕事と家庭の両立支援企業制度
- 福岡県 「子育て応援宣言企業」制度
- 熊本県 熊本県ブライト企業
など
また、政令指定都市などの地方自治体でも個別に認定制度を策定しているところがあります。
もちろん、先程の都道府県と同じく、1つの地方自治体でも複数の認定制度を設置している場合がございます。
こちらも一部の例ですが、このような認定制度があります。
- 札幌市 ワーク・ライフ・バランスplus企業認証
- 横浜市 よこはまグッドバランス賞
- 名古屋市 ワーク・ライフ・バランス推進企業認証制度(名古屋市)
- 神戸市 こうべ男女いきいき事業所表彰制度
- 北九州市 キタキューかえる宣言
など
あまり聞き慣れないものが多く、一般企業向けの制度なのでは?と思われるかもしれませんが、いずれも病院や医療法人の認定実績がある制度ばかりです。
客観的な判断材料の一つとして、覚えておくといいかもしれません。
最後に
もちろん、上記のような様々な認定を受けていなくても、働き方改革が推進される昨今は多くの医療機関様が労働環境の改善に積極的に取り組んでいらっしゃいます。
気になる方は、面接などの場で最新の労働環境の状況を担当者に確認してみることも重要です。
ホワイトな職場という曖昧な概念であっても、総じて言えることは「人を大切にする職場」であることです。
様々な医療機関に足を運んでいるエージェントだからこそ知り得る情報もございます。
職場環境に関しても気になることがあれば、是非クラシスのエージェントまでご相談ください。