【医師】美容医療、AGA・EDなどの自由診療への転職を考える

日本列島に梅雨の季節がやってきましたね。
近頃は、時期先の転職を見据えたご相談をいただきますが、コロナ禍から爆発的に増えているのが「自由診療への転職」のご相談です。

特に未経験の先生や研修医や専攻医といったお若い先生からご相談いただくことも増えています。

今回は、美容医療やAGA・EDといった自由診療への転職に関して、実際に転職いただいた先生のお話も交えながら考えていきたいと思います。

自由診療はキャリアのドロップアウト?

「美容などの自由診療に進むのはキャリアのドロップアウト」

これはよく言われていることではありますが、自由診療に進んでしまうと保険診療・臨床のキャリアから外れてしまいます。
そして、一度そうしてしまうと、保険診療・臨床へのキャリアに戻ることはなかなか厳しいと言わざるをえません。

これが例えば、皮膚科の保険診療をメインに行いつつ、自費診療領域も取り扱っているなどであれば、臨床のキャリアは継続していると言えます。

しかし、完全に自由診療一本で進むとその後のキャリアの選択肢は自由診療のみとなります。

また美容外科領域になると、豊胸、骨切り、脂肪吸引といった命にも関わってくる領域の施術がありますので、安易に進んで良いという道ではありません。

美容皮膚科領域(医療脱毛含む)、AGA・ED領域も含め、自由診療領域はサービス業の性質に寄るため、接遇面・コミュニケーション力も問われます。

確かに都市部や市内中心部に開院されるケースが多いことから通いやすく、保険診療などと違って給与も高めになる傾向にあります。

ただし「自由診療は激務ではない」というイメージで行くと、中には来院数などが多いところやシフト制で勤務日数が多いところもあり、ギャップに苦しむこともあります。
さらにクリニックによっては売上目標(ノルマ)が課されているケースもあり、先述の通りサービス業としての面が強い領域です。

安易な考えで進んでしまうと、後戻りしようと思ってもできませんので、しっかりとした将来のビジョンや目標・目的をもって自由診療に進んでください。

反して、いつか臨床のキャリアに戻りたいと頭の片隅で少しでも考えているのであれば、自由診療への転職は控えられた方が良いでしょう。

研修医・専攻医で自由診療への転職

先述の通りですが、自由診療に進んでしまうと保険診療・臨床のキャリアから外れ、そこから再度臨床のキャリアへ戻るのはなかなか厳しい状況です。

求人の話をすると、確かにご相談に乗っていただけるところはあります。

しかしながら自由診療とは言え、基本的な手技(採血など)が必要になるケースも多いため、やはり臨床経験は必要です。

研修医ですと各診療科をローテートする都合上、対応頻度の高い疾患、救急対応などの対応が中心となるため、臨床経験を積まれたとは言い難いです。

将来を見据えた動きをするというところも考えると、まずは専攻医として研修プログラムを選ぶ段階で外科や形成外科、皮膚科などに進み、専門医の取得を目指すことをおすすめします。

そして臨床経験などを積んだ後、研修プログラムを終えるタイミングでもう一度自由診療への転職をするか、他のキャリアを進むかの選択をしてみてはいかがでしょうか。

専攻医と研修医の医師は何が違うの?専攻医になるまでの流れや新専門医制度も解説

自由診療への転職のポイント

では、自由診療への転職という覚悟を決めたとして、すぐに転職!という訳にはいきませんよね。

実際に自由診療へ転職した先生方に弊社のエージェントから行ったアドバイスも含め、自由診療への転職の際のポイントを掲載します。

 

専門科目や経験の有無

転職するにあたって、形成外科から美容医療などは業務の侵襲性がありますが、内科医が美容外科医になるのはかなりハードルが高いです。

もちろん、ハードルが高い≠不可能ですが、求人状況によってはかなり厳しい戦いになりますのでご承知置きください。

美容医療の領域で長く働く気があるのであれば、美容医療への熱意をもって研修制度が整っているクリニックへの転職がおすすめです。

ただし、近年では美容求人の人気も高まっているため、概ねの場合において経験者の採用が優先されます。

しかしながら、AGA・EDや医療脱毛の領域などは未経験の方が活躍可能な求人も多い状況です。

美容皮膚科や美容外科の場合にはご専門の科目も重視されることがありますので、専門診療科で得たスキルの洗い出しなども行っておくと良いでしょう。

 

休日制度・希望休制度

自由診療の場合、来院される方のために休診日を設けないケースや土日祝にクリニックを開けるケースが多くあります。

そのため、シフト制勤務が組まれていることもあります。

シフト制の場合、入職時に基本的な就業曜日を選択するケースもあれば、毎月シフトを確認するケースもあります。

また後者の場合には休日の制度や希望休の制度もあわせて確認しておく必要があります。

シフトを提出する際にある程度お休みの希望を聞いてもらえるところから、希望休は月何日までと法人規定で定まっているところまで様々です。

さらに文字だけで見ると似ている「月休8日制」と「完全週休2日制」でも意味合いが異なりますので、求人を探す際にはしっかりと調べておきましょう。

 

接遇面・コミュニケーション力

自由診療は医療というよりも、全体的にサービス業の性質に寄っています。

そのため、先方は接遇面やコミュニケーションスキルを非常に重要視して採用されています。

基本的にはそういったスキルは面接で見られることが多く、挨拶、しっかりとした返答が大切になります。

コミュニケーション能力に自信がないという方も、清潔な服装で相手の顔を見て返答するだけでも印象が変わります。

完璧なコミュニケーションをする必要はありません。

もしご不安であるならば、「自分が客の場合にどのように接客されたら不快感を抱かないか」という部分からご自身のコミュニケーション能力を見ていくこともおすすめです。

今、医師に最も求められているスキルは「コミュニケーション力」!?

 

実際の転職事例

では、実際にクラシスから転職した先生方の事例の一部を見ていきたいと思います。

転職に迷っている方、美容医療に挑戦したいけどどうしたらいいかわからないという方の手助けとなれば幸いです。

 

転職事例1 放射線科/30代

<転職前>

科目 放射線科・健診
勤務日数/年収 週5日/年収(  )
業務 読影 ※健診も一応可能
当直・オンコール なし

<転職後>

科目 その他
年収 週4日/年収1,500万円
業務 自由診療(AGA)
当直・オンコール なし
【 転職背景 】
結婚を機にパートナーの実家近くへ引っ越すことになり、所属先の健診クリニックを辞めることになりました。
せっかく環境も変わるので、それならバイト(非常勤)で勤務経験があったこともあり、自由診療に挑戦してみたいと思いました。
【 転職活動を通して/転職してみて 】
勤務経験があったのは実は医療脱毛で、漠然とそちらでの転職を考えていました。
しかし実際に面談した時、色々と求人を持ってきていただき、医療脱毛だけでなくニキビ治療やAGA治療など、多様な自由診療の求人を案内いただけて驚きました。
何か所か面接に行った際に、制度面や研修面がしっかりしていることや、実際に転科された先生の実体験などを聞けたこともあって、今の勤務先に決めました。

 

転職事例2 形成外科/40代

<転職前>

科目 形成外科
勤務日数/年収 週5日/年収800万円
業務 外来・オペ
当直・オンコール 当直:月6~7回

<転職後>

科目 美容外科
年収 週5日/年収1,800万円+インセンティブ
業務 自由診療・オペ
当直・オンコール なし
【 転職背景 】
元々美容に興味があって美容形成をしたかったのですが、研修後に入った形成外科が楽しく、気づけば40代になっていました。
現状に満足していましたが、お世話になった方の退局や学生時代に言っていた夢を叶えた同級生との再会などもあり、これを機に美容に挑戦したいと思って転職活動を始めました。
【 転職活動を通して/転職してみて 】
数社に転職支援をお願いしましたが、クラシスさんの担当の方に紹介会社を利用していないところも併せて情報をいただいたこともあって、最後はクラシスさんだけにお願いしました。
結果的に、形成外科出身の先生方が多く、見学時のスタッフの方や院長先生の応対も丁寧で、シフト制ではなく完全週休2日制ということで、納得して今のところに転職を決められました。
以前の病院よりも自宅から近く、物腰も柔らかい院長先生や分院長の方に丁寧に教えていただける環境なので、毎日充実しています。

 

転職事例3 皮膚科/40代

<転職前>

科目 皮膚科
勤務日数/年収 週5日/年収1,800万円
業務 外来・日帰りオペ
当直・オンコール なし

<転職後>

科目 皮膚科・美容皮膚科
年収 週4日/年収1,400万円
業務 外来・自由診療
当直・オンコール なし
【 転職背景 】
皮膚科クリニックの管理医師をしていましたが、法人のやり方と合わなくなってきて、精神的に疲れてきて漠然と転職したいと考えるようになりました。
美容で勤務している友人が「綺麗になるお客さんを見てると楽しい」と言っていたこともあり、なんとなく美容希望で情報収集から始めました。
【 転職活動を通して/転職してみて 】
クラシスさんにお願いした一番の理由は、面談の際に「皮膚科のキャリアを諦めてしまって後悔しませんか?」という言葉をいただいたことです。
他にも相談していたところはありましたがそういう言葉をいただいたことはありませんでした。すごくハッとさせられました。
その後のメールや電話などでやりとりをして、「皮膚科クリニックで美容も教えてもらえる」という求人に何件か応募しました。
今のところは、理事長先生が同じ大学の出身ということもあって意気投合したことや、スタッフ関係なく話し合いが当たり前の環境という点で決めました。
フィラーなども丁寧に教えていただける一方で、皮膚科のキャリアも継続できているので、すごく満足しています。
※尚、先生方のプライバシー保護の観点から上記3件の回答の一部分を編集しております。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。
実際のところ、なんとなく美容がやってみたい…と思っている方は、一旦立ち止まって考えてみることも大事です。

先程、コロナ禍から爆発的に増えていると申し上げましたが、実のところ一番は「今のところの給与と比較して」のご相談が多い状況です。

給与面は確かに高額で魅力的ですが、その分、人の一生を左右する可能性があるという部分においては保険診療と変わらず、むしろ責任という部分においては保険診療以上になる場合もあります。

また訴訟リスクなども低いとは言えないため、しっかりとした技術力やコミュニケーション能力が問われる環境です。

とはいえ、挑戦してみたい!という熱い想いをお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
美容などの自由診療に挑戦してみたい方は求人紹介サービスへのお問い合わせもオススメです。

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