医師の平均年収の現実は?ランキングや収入アップ方法を紹介

医師の平均年収の現実は?ランキングや収入アップ方法を紹介

医師の年収は、働き方や年齢、診療科などさまざまな要素の組み合わせによって変わります。自身の年収が平均と比較して高いのか低いのか、まだ収入アップの余地はあるのかなど、気になっている先生も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、色々な切り口からみた医師の平均年収や、収入アップの方法についてご紹介します。

開業医と勤務医の平均年収の違い

中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査報告(令和5年実施)」によると、一般病院の勤務医の平均年収は約1,461万円となっています。一方、開業医の平均年収は、個人の一般診療所の損益差額を年収とみなすと約2,776万円となっています。両者を比較すると、開業医の平均年収は勤務医の平均年収の2倍近くとなっており、かなりの差があることが分かります。
ただし、同資料には“個人立の一般診療所の損益差額からは、開設者の報酬となる部分以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる。”との注意書きがあります。このことを考慮すると、開業医の手取り収入はもう少し低くなるでしょう。
給与収入である勤務医と事業収入である開業医では、単純に比較ができない点には留意する必要があります。

男女別&年代別の年収事情

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」を基に試算すると、医師の男女別・年代別の平均年収は以下の通りとなっています。

▼男女別・年代別にみた医師の平均年収
出典:「令和4年賃金構造基本統計調査」を基に作成
※「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出

男女別で比較すると、いずれの年代でも女性医師より男性医師の方が平均年収が高い傾向にあります。これは、給与水準自体に男女差があるわけではなく、働き方や診療科の偏在などが影響していると考えられます。
たとえば、男性医師よりも女性医師の方がライフステージの変化によって働き方をセーブする傾向が強く、年収が上がりにくい傾向にあると考えられます。また、女性医師は長時間勤務や夜間勤務が少ない診療科を選ぶ傾向が強く、診療科の偏りが男女の平均年収の差に影響している可能性もあるでしょう。

年代別で比較すると、男女ともに年齢が上がるごとに平均年収も上がり、男性医師は40代後半、女性医師は50代後半をピークに徐々に下降していく傾向にあります。
ここからは、年代別の年収事情を詳しくみていきます。

20代

20代は医師としての基本的な診療能力を身につけ、専門性を確立していく時期です。医学部を卒業後、まずは2年間の初期臨床研修を修了し、その後は多くの医師が専門医の取得を目指して3~5年の専門研修に進んでいきます。
研修医や専攻医として研鑽を積む修業期間であるため、年収相場は一般的な医師のイメージより低めです。しかし、この時期にしっかりと臨床の場で経験を積んだり技術面を学んだりすることで、今後のキャリアアップの下地となります。

30代

30代は専攻医としての研修も終え臨床経験も増える頃で、ようやく一人前の医師として歩み始める時期です。サブスペシャリティも含め専門性をさらに高めながら、徐々に後輩の指導やマネジメントにも携わり始めるなど、業務の幅が広がってくる時期でもあります。
体力のある30代は現場の第一線で活躍する時期であり、当直や時間外勤務などを引き受けることも多く、ハードな働き方を求められがちです。業務量や責任が増える分、20代と比べると平均年収は大きく上がり、30代後半になると男女ともに1,000万円以上に達します。

40代

40代は経験もスキルも十分に備わり、中堅医師として引き続き現場の第一線で活躍しながら、チームのマネジメントや教育など管理職的な業務の比重も増していきます。診療科の中心的な役割を担い、医長や部長などの役職に就く医師も多いです。
30代よりも平均年収はさらに上がり、40代後半になると2,000万円の大台に乗るようになります。しかし、男女別にみてみると、平均年収の上がり方には少し違いがあることが分かります。
男性医師の場合、年齢が上がるにつれて平均年収もそのまま上がっているのに対して、女性医師は30代後半で年収の伸びが一度ストップし、その後40代後半になるとまた一気に年収が上昇傾向に変わっています。この男女差は、40代後半は子育てが一段落する時期と重なるため、子育てによって仕事をセーブしていた女性医師がフルタイム勤務に復帰する、といったケースが増えることが影響していると考えられます。

50代

50代は責任ある役職に就くなど、多くの医師がキャリアのピークを迎える時期です。また、経験豊富なベテラン医師として活躍しながらも、いつまで第一線で働き続けるか、定年後のセカンドキャリアについて具体的に考え出す時期でもあります。
体力的な衰えから徐々に落ち着いた働き方にシフトする医師も増え、平均年収の伸びは鈍化し、男性医師の場合は40代と比べると少し落ち込み1,800万円台となっています。一方、女性医師は先述の子育てからの復帰といった背景もあり、50代後半に1,700万円台に達し平均年収のピークを迎えます。

60代

60代になると、定年というキャリアの一つの節目を迎えます。しかし、そのまま医師を完全に引退するケースは少なく、多くの医師がなんらかの形でその後もキャリアを継続していきます。
定年後の再雇用制度を利用したり、比較的ゆったり働ける職場へ転職したりと、70代を超えるまでキャリアを継続する医師も少なくありません。特に療養型病院や介護老人保健施設では、若手や中堅の医師よりも落ち着いたベテラン医師のニーズが高いため、そういった職場では定年後も安定してキャリアを継続することが可能です。
しかし、再雇用後や転職後は役職を外れたり勤務時間が少なくなったりすることから、年収は下降していきます。特に70代以降は、これまでと同水準の年収をキープするのは難しくなります。ピーク時と比較すると少し物足りなく感じられるかもしれませんが、それでも男女ともに1,000万円以上の高年収をキープしているのは、医師ならではの特筆すべき特徴といえるでしょう。

診療科別の年収ランキング

労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を基にランキング付けすると、医師の診療科別の平均年収は以下の通りとなっています。

▼診療科別にみた医師の平均年収ランキング

出典:「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を基に作成

平均年収が最も高いのは「脳神経外科」で1480.3万円、最も低いのは「眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科」の1078.7万円となっています。これは、勤務内容や勤務時間の違いが関係していると考えられます。
たとえば、ランキング上位はほとんどが手術のある診療科となっており、夜間や休日の時間外勤務も発生しやすい傾向にあります。このことから、稼げる科ほどハードな働き方を求められる傾向にあると考えられます。

医師の年収をアップする方法

ここまでは、さまざまな切り口から医師の平均年収をみてきました。では、それらを踏まえたうえで、より高収入を目指すにはどのような方法があるのでしょうか。
ここからは、医師の年収をアップする方法を4つご紹介します。

転職する

一つ目は、より高収入の見込める職場へ転職する方法です。医師の年収水準は勤務先の規模や経営形態、勤務エリアによっても変わるため、働く環境を変えるだけでより高収入を得られるケースもあります。
たとえば、年収水準の低い大学病院から民間病院に転職したり、都心の病院から地方の病院に転職したりすれば、同じような働き方でも比較的簡単に年収アップが見込めます。ただし、転職を検討する際には収入以外の条件もしっかり吟味することが大切です。

勤務先に相談する

二つ目は、現在の勤務先に相談してみるという方法です。収入面以外に不満がなく、できれば現在の職場で働き続けたいと考えている場合、勤務先に給与アップの交渉をしてみるという選択肢もあります。
医師不足の昨今は多くの医療機関が人材確保に苦戦しているため、収入面の不満から医師が辞めてしまうのは痛手です。規定などにもよりますが、昇給に応じてもらえる可能性もあるでしょう。能力に応じた昇給制度を導入している場合もあるため、相談する前に一度契約内容を確認してみるとよいでしょう。

開業する

三つ目は、自身でクリニックを開業するという方法です。勤務医ではどうしても年収に限界があることから、開業するというのも年収アップの一つの選択肢になります。経営が軌道に乗れば、勤務医をはるかに上回る高収入を得ることも可能です。
しかし、開業には多額の資金と入念な準備が必要であり、経営手腕も問われます。勤務医時代より業務や責任が増す点は覚悟が必要です。
なお、収入アップが主目的の場合には、雇われ院長を検討するのもよいでしょう。一からの開業よりもリスクが少なく、勤務医に近い働き方でありながら、相場より高収入が見込めるケースが多いです。

アルバイトをする

四つ目は、非常勤やスポットのアルバイトを掛け持ちする方法です。すでに年収水準の高い職場で働いている場合や、転職までは考えていないもののもう少し収入を上げたいという場合、土日や研究日を活用してアルバイトをすれば、手早く収入アップが叶います。
外来や健診のアルバイトの場合、時給は1万円前後が相場です。仮に1日8時間勤務のアルバイトに週1回入るとすると、日給8万円×年間52週計算で400万円以上の収入アップが見込めます。
また、アルバイトは収入アップ以外にも、複数の勤務先で働くことで人脈が広がったり、勤務内容によってスキルアップにつながったりするというメリットもあります。
ただし、勤務先によってはアルバイトが禁止されている場合もあるため注意が必要です。たとえば、研修医や公務員扱いの医師は原則としてアルバイトが禁止されています。日数やコマ数が制限されているケースもあるため、アルバイトを始める前には必ず規則を確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、さまざまなデータを基にした医師の平均年収の現実や、収入アップの方法についてご紹介しました。
医師の平均年収は、働き方や年齢、診療科などさまざまな要素によって変わります。より高収入を目指すには、勤務先への相談やアルバイトの掛け持ち、転職などいくつかの方法が考えられます。開業という選択肢もありますが、勤務医と異なり経営者的な側面も強くなるため、収入アップのみが目的の場合には安易におすすめできません。リスクが少ない方法としては、アルバイトや転職から検討してみるとよいでしょう。

年収アップのためにバイト探しや転職を検討される場合には、転職エージェントの利用がおすすめです。医師ジョブでは、高収入の求人を多数扱っているのはもちろん、収入以外の条件も含めご希望が叶うよう全面的にサポートします。ご相談だけでも構いませんので、是非お気軽にご登録ください。

 医師の転職・求人・バイト募集なら医師ジョブ 

>医師ジョブの求人紹介サービス

医師ジョブの求人紹介サービス

クラシスのコンサルタントが、先生の転職、バイト・非常勤の求人探しを全面サポートいたします。
情報収集から転職相談、条件交渉・面接設定など、全て無料にてご利用いただけます。
理想の求人探しをクラシスにお任せください!