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◇ 医師ジョブマガジン 2024.02.27号 ◇
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先日2月22日、海外の製薬会社が開発した「肥満症治療薬」の国内での販売が開始され、患者様への処方が可能となりました。
なお、この「肥満症治療薬」は実に30年ぶりとなる新薬となります。
この治療薬は、肥満大国とされている米国ではすでに利用されており、需要に対して供給が追い付かないほどの状況なのだそうです。
この「肥満症治療薬」はすでに日本国内でも承認されている「GLP-1受容体作動薬」の容量を増やし、肥満症治療用に応用されたものです。
言うまでもありませんが、「GLP-1受容体作動薬」は、国内で糖尿病の治療薬として承認されています。
しかしながら食欲を抑えて減量の効果みられることから、自由診療を扱う医療機関で糖尿病の既往歴がない方にも「やせ薬」として処方されるケースが増えていることが以前から懸念されていました。
SNSでも「GPL-1ダイエット」というワードが一人歩きしており、検索すると多くの投稿を目にすることができます。
しかし当然ながら、糖尿病患者以外の人が使用した場合における安全性や有効性は確認されていません。
そのため、中にはやせ薬として使用して、吐き気や下痢、頭痛、まれに急性膵炎や低血糖などの命に係わる副作用が出ているケースも発生しています。
上記のように肥満症の新治療薬が美容目的の不適切な使用を避けるため、日本肥満学会では「肥満症」治療以外で治療薬を使用しないよう注意喚起の声明を出しています。
この新薬が保険診療の対象となるには、肥満症の診断かつ高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを合併している場合のみです。
患者さんの既往歴や薬歴によっては新薬の処方により低血糖のリスク上昇などが考えられるため、医師側からも患者さんに説明することが必要だと言えます。
(もちろん、薬剤師側でもしっかりと確認するとは思いますが。)
とはいえ、保険診療で処方可能な病院はまだ少ないため、こうした心配もまだ杞憂にしかすぎませんが…。
このコラムは2024年2月に配信した記事です