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◇ 医師ジョブマガジン 2023.10.24号 ◇
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先日、こども家庭庁が「こどもホスピス」を全国に普及させることを目的に初の実態調査を行うというニュースを見かけました。
「こどもホスピス」とは英国発祥の施設で、難病や小児がんなどの重い病気や障害を抱えた子ども達が安心して過ごせる環境を提供する施設です。
「ホスピス」というと終末期の緩和ケアを施す病棟をイメージされるかもしれませんが、こどもホスピスは下記の様なサービスを提供しています。
・子どもの症状緩和
・子どもの発達に応じた多様な学びや遊び場の提供
・ご家族の休息のための短期入所(レスパイトケア)
・兄弟を含むご家族のメンタルケア
・死別後の心のケア
こどもホスピスは主に医療機関や民間団体が運営しています。
そして寄付金などで運営されていることが多く、利用料は無料もしくは低額で設定されています。
英米を中心に広く普及している欧米に対し、国内で「こどもホスピス」の名称で運営する施設は4施設しかありません。
現在、難病を患った子どもたちのが自由に過ごせるための空間を増やそうと、各地のNPO法人が中心となって活動を活性化しています。
しかし、実際は資金不足や制度面の不備がネックとなり、国内でのこどものホスピスの普及は思うように進んでいません。
国内では0~14歳のうち、1年間に2,000人程度が小児がんと診断されています。
子どもたちはもちろん、24時間体制で看病をされるご家族が孤立しないよう、自宅と病院の中間的な位置付けとなる「こどもホスピス」の重要性は高まっていると言えます。
確かに、子どもたちの医療費や福祉に関する国の支援は以前に比べると整ってきています。
しかしながら病気を患う子どもたちが生活をするための環境やご家族への支援については、未だに十分とは言い切れません。
今回の実態調査で、施設の活動の現状や課題の把握、そして利用するお子様やご家族に聞き取りを実施することで「こどもホスピス」の明るい兆しが見えることを祈るばかりです。
※このコラムは2023年10月に配信した記事です