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◇ 医師ジョブマガジン 2023.03.07号 ◇
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昨今、すっかり根付いてきた「キャッシュレス決済」は、コロナ禍を経て一気に増えた印象があります。
「現金しか信じない!」という方もいらっしゃる一方で、むしろ「現金はしばらく触っていないかも…」という方がいらっしゃるのもまた事実。
そんな世の中になりつつある中で、今後「デジタルマネーによる給与の支払いも認められる」ことはご存じでしょうか。
労働基準法の省令改正案が2022年10月に承認され、2023年4月からその制度が施行されます。
そもそもの話として、労働基準法第24条では、賃金は現金払いと定められています。
しかし現代では、雇用主と労働者(労働組合)の間の合意に基づいて協定を結ぶことができれば銀行口座への支払いも認めています。
つまり今回の話は銀行口座に加えて、デジタル払いによる賃金の支払いも可能になるというイメージです。
しかしデジタル払いは、労働者と雇用主間で合意した場合+政府が認定した企業である場合+希望する労働者のみという状態で、かなりハードルは高めです。
またここからが重要で、デジタル給与の上限額が100万円に定められています。
デジタル払いで受け取る金額が1回100万円以上になった場合には、デジタルマネーのサービス提供者により余剰分を自動的に別の口座などへ移すといった処理が必要となります。
先生の給与額によっては、月給全額をデジタル払いで受け取れない可能性があるということになりますね。
では何故デジタル払いが認められたのかというと、以下の理由が挙げられます。
●キャッシュレス化普及の促進
●デジタルマネーへの一定のニーズがある
●銀行口座を開くハードルが高い海外からの労働者の増加促進
一方で以下の理由から反対の声も挙がっています。
●デジタル払いの口座・アカウントと、個人(マイナンバーなど)の紐づけが現実的ではない
●デジタル払いを希望しない労働者は以前と同じく振込のため、かえって煩雑になる
●そもそも、セキュリティ面に不安がある
制度適用自体は2023年4月からですが、労働者の同意やインフラ整備といった必要な事前準備が多く、すぐに運用が開始することはないと見られています。
しかしここで重要なことは、今後認められることになるという箇所です。
医療機関がこの制度をすぐに取り込む可能性は高くないと思われます。
ただし可能性としてこの支払方法の話がされることは、今後全く有り得ない話などではありません。
賛否は一旦隅に置いていただき、このニュースを覚えておいていただければ「いざという時」に慌てなくて済むかと思います。
※このコラムは2023年3月に配信した記事です