【医師ジョブマガジン】医療事故調査制度の問題点とは

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◇ 医師ジョブマガジン 2023.05.09号 ◇
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先日、医療機関で起きた医療事故を調べる「医療事故調査制度」の報告数が都道府県で差が出ているとの発表がありました。

人口100万人あたりの報告数で比べた際の差は、最小の県(福井県 1.1件)と最多の県(宮崎県 5.3件)ではおよそ5倍。
では、この差は何故生じるのでしょうか。

「医療事故調査制度」は2014年に成立しました。
ご存じかもしれませんが、この制度では医療事故の原因を当該医療機関内で調査をすることを義務付けています。

目的としては、各地で起きた事故の情報を第三者機関が収集・分析をして医療事故の再発防止を図る目的があります。

厚生労働省によりますと、この制度の対象となる医療事故とは、以下のように定められています。
「病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」

ただし以前から指摘されているように、留意すべき点として、調査すべき医療事故か否かは病院管理者(院長など)の判断により決められる点が挙げられます。

つまり、病院管理者が「当該死亡を事前に予期していた」と判断した場合は医療事故として報告されません。

ここで最初の話に戻りますが、上記の様な地域差がどうして発生してしまうのかという一因はそこにあります。

先述の通り、
・報告調査対象かどうかは病院管理者の判断に委ねている
・院内調査方法が明確でない
・医療事故という括りが曖昧になっている
など、医療機関毎の主体性が重んじられていることが問題視されています。

そもそも勘違いされがちですが、この制度の目的は医師への責任追及ではなく、死因を明確にして事故の再発を防ぐことです。

そしてそのためには、中立性や公平性を保ちながら調査を行うことが、制度運用にあたって重要なポイントになることは言うまでもありません。

医療現場では予測できない事態が日々発生します。
現場に立たれている先生方のためにも、今後この制度が適切に運用されていくように祈るばかりです。

※このコラムは2023年5月に配信した記事です


 

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