【医師ジョブマガジン】検討中のNP制度の是非

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◇ 医師ジョブマガジン 2023.05.30号 ◇
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現在、「ナース・プラクティショナー(NP)」制度への検討が進んでいます。

NPを改めて簡単に説明すると、一定のレベルの診断・治療などを行うことができる看護師を指します。

元々アメリカで1960年代に開始された制度で、留学された先生は覚えがあるのではないでしょうか。

現在、日本看護協会(日看協)が、2025年・2040年問題や医師の働き方改革なども受けて、その制度を新設しようと動いています。

政府としても、2025年問題も見据え、「ある程度の医療行為を行える看護師」の検討を行っていました。

ところが2023年2月、日本医師会(日医)は、ヒアリングでこの制度に反対の立場を示しました。

日医の意見を要約すると、この2点にまとめられます。
・コスト(人的・時間など含む)がかかる国家資格創設でないと解決できないのか
・以前に設置した看護師の特定行為研修制度を進めるべきである

特に話の主軸となっていた「在宅医療でのNP導入」などにおいては、5月25日の定例記者会見にて各関係団体と合同で改めてけん制しました。

とはいえ、日医のNPへの反対は今に始まったことではなく、2009年の段階で既に反対意見を述べています。

2009年の際に日本医師会が上げた問題は、以下の3点です。
・国民皆保険制度との相性の悪さ
・医療の質の問題
・業務分担

この話に覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2009年にNP導入の話で主軸になったのは、「医師不足」でした。
結局は一度収まった話ですが、今回はタスクシェアの観点からも再度取り上げられた形です。

NPに関しては、確かに医師の業務負担を軽減するという面ではメリットになります。

しかしながら、看護師の人員自体が不足する現在、NPが根本的な解決にはならないという声も聞かれます。

実際、現在のNPはほとんどが病院勤務です。
本当に必要とされる(と考えられる)クリニックや在宅医療の業界で働く方は僅かです。

そして忘れがちですが、タスクシェアにおいて解決すべき根本的な問題は、結局のところ「人手不足」です。

特に差し迫っている2025年・2040年問題において、地域の高齢者医療を支える在宅医療は業界全体が深刻な人手不足です。
これは医師に限らず、看護師やスタッフも同様です。

先生方はNPに対して、どのようなご意見をお持ちでしょうか。
賛成も反対も含め、様々な意見があるかと思います。
NPに対して、各団体・政府がどのような答えを出すのか、今後も注視してまいります。

※このコラムは2023年5月に配信した記事です


 

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