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◇ 医師ジョブマガジン 2024.06.25号 ◇
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医療ニュースを見ていたところ、時期的な部分もあるかもしれませんが、「学校健診」を巡ったニュースをちらほらと見かけたように思います。
またSNSでは学校健診前後で、毎年保護者たちを中心に学校健診での脱衣の是非なども議論されます。
特にここ数年は、昨年には学校健診中の盗撮事件が、今年には説明せずに下半身の下着の中を覗いた学校健診の件もあり、親御さん側はマイナスの論調が目立ちました。
その流れで、女子小学生・中学生の保護者から「娘が上半身裸を強制された」という話が挙がっていましたが、地域によっては大学生自身からも「高校まで上半身裸を強制されていた」と声が上がっていました。
時代を考えれば、確かに子どもたちに対するプライバシーへの配慮は必要です。
「ブラック校則」という言葉もありましたが、時代に即した考え方と配慮は現代では必要不可欠だと言えるでしょう。
なお、SNSでは、着衣の選択肢を与えてほしい、女子には女性医師・女性教員の配置などができないのか、という提言もあったようです。
特に着衣の選択肢は、現状クリニックなどの診察で着衣のまま聴診を行うというところも多いため、真っ先に提言されていたようでした。
しかし脊柱側弯症や虐待などの皮膚の検査の場合には、脱衣の方が診やすいことは言うまでもありません。
以前、学校健診にて側弯症が見落とされたことにより、学校・市区町村・学校医が訴えられた訴訟問題もありました。
そうしたリスクもあることを考えれば、必ずしも着衣のままで済ませることが良いとも言い切れません。
(もちろん、背中さえ見えれば良いため、布などで前を隠しても出来ることではあります。)
また女性医師を配置しようにも、ご存じの通りですがそもそも医師会に所属する女性医師が少ないこともあり、なかなか厳しいところがあります。
開業医の先生方のなかには、毎年苦慮されている方も多いでしょう。
いずれにせよ、答えがすぐに出る問題ではないように感じました。
ただしこうした着衣・脱衣の問題で毎年議論になることを鑑みると、先生方が思う以上に学校健診の検査に対する世間の理解が足りないように思います。
そうなると、健診前に丁寧な説明や同意を得ておくという前段階は更に必要なのかもしれませんね。
ちなみに文部科学省が今年1月に出した学校健診に関わる通達もあり、補足として医師会側も定例会見にて追加で解説を行っています。
気になる方は、改めて確認してみると良いかもしれません。
児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備について(通知)-文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20240123-mxt_kenshoku-100000617_5.pdf
学校健康診断に関する文部科学省通知について解説-日本医師会定例記者会見
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011536.html
このコラムは2024年6月に配信した記事です