【医師ジョブマガジン】切らない早期乳がん治療の未来

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◇ 医師ジョブマガジン 2024.01.30号 ◇
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外科や乳腺外科がご専門の方はご存じかと思いますが、先月12月に、早期の乳がん患者に対する「ラジオ波焼灼術(RFA)」が保険適用となりました。

肺がん、肝がん、腎がんなどの様々な領域で既に保険適用となっていましたが、早期乳がんではこれまで先進医療B等で行われ、保険適用外でした。

国立がんセンターのがん罹患数予測によりますと、乳がん年間予測罹患数は男女あわせて全国で95,000人(2022年度の予測)と推定されています。

もちろん男性でも罹患するものではありますが、女性では大腸領域を抜いて最も多く罹患するがんでもあります。

12月以前は保険適用で治療しようと思うと、手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせたものが中心でした。

特に手術となると、主に乳房の一部または全切除術がメインですが、乳房を切除することは特に女性患者さんにとっては精神的苦痛を伴うものです。
その上、どうしても傷跡が目立ってしまう例も見られ、乳がんでは侵襲性・QOLの部分で課題となっていました。

ラジオ波焼灼術は切らない乳がん治療として、手術での切除術に比べても傷が小さくて済むため、身体的にも精神的にも患者さんの負担が少ないというメリットがあります。

ただし、現状「早期乳がんに対して」と先述した通り、この治療対象は下記の条件に限っています。
(1)腫瘍の長径が1.5センチ以下であること
(2)がんが一つであること
(3)腋窩リンパ節転移及び遠隔転移を認めない場合
上記の条件に合う早期の乳がんであれば、日本乳がん学会が認定した医療機関での実施が可能となります。

また、治療でがん細胞を取り残す可能性が捨てきれない点、可能な医療機関が限られている点は改善点と言えるかもしれません。

とはいえ、確かに20年ほど前に注目を集めた際には自由診療下とはいえ再発や転移した例が多く報告された過去もあります。
しかし10年以上にわたる臨床研究から安全性・有用性が認められたからこその保険適用で、以前とは状況が異なることは明記しておきます。

あとは保険適用で受けられる医療機関や治療法の研鑽を積んだ術者が徐々に増加すれば、いずれこの治療が当たり前になる日が来るかもしれません。
最終的に、早期にがんを見つけて治療することが当たり前になることを願うばかりです。

2024年能登半島地震により被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

このコラムは2024年1月に配信した記事です


 

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