【医師ジョブマガジン】大手プラットフォーム口コミ機能への集団訴訟

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◇ 医師ジョブマガジン 2024.04.30号 ◇
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先生方は宿泊先や食事処を調べる際に口コミを気にされますか。
調べる際に先に利用された方の口コミを聞いたり、ネット上の口コミをご覧になったりして、より良いところを探すという方も少なくないかと思います。

いつ頃からか、大手検索エンジンなどの機能ではホテルやレストランの口コミがつくようになりましたが、先生もご存じの通り医療機関にも同様の機能がついています。
これは検索エンジン側で検索した際に同プラットフォーマーが提供するマップ機能上の情報を参照する機能で、実機能はマップ機能の一部となります。

先日、そのプラットフォーマーのアメリカ本社を相手取り、全国63の法人や個人の医師たちが損害賠償を求めて集団提訴を行いました。

原告の医師たちは、プラットフォーマーがマップ上の情報登録・評価機能を提供するだけで悪意ある投稿者の対策を放置していることから、事業者が投稿者への法的措置を迫られて営業権を侵害されていると主張。
また主張の中で、口コミの悪評などの削除ハードルが高いことなどから、機能面などの問題も挙げていました。

今回の件、お困りの先生方も少なからずいらっしゃるかと思います。

元々プラットフォーマーが提供するこのサービスは、営業時間や医療機関名の基本情報もマップ上に登録・編集ができるのですが、医療機関側が登録していなければ一般のユーザー側が自由に編集できます。
純粋な気持ちから編集してくれるユーザーであれば問題ありませんが、わざとウソの情報を編集する悪意あるユーザーも一部存在します。

そしてここが問題の一つだと思いますが、医療機関側が情報を訂正しようと思うと、医療機関側もこの機能に登録して基礎情報の編集権限を得る必要があります。
つまり元から誤情報の登録を防ごうと思うと、最初から医療機関側も登録が必要になるということです。

その上、口コミは自由に書き込みできるため、ユーザーによる無責任な口コミも一部見受けられる状況です。

しかしながら先述の通り医療機関側が削除しようと思うとハードルが高く、規約違反で削除してもらえるものは損害を及ぼすような誤情報(例:明らかに別の県の同名病院を名指しする悪意ある口コミが寄せられた)など一部のみとなります。

例えば整形外科のクリニックに内科の患者がきて、専門外のため隣の医療機関を勧めた次の日に「受付時間に行ったのに門前払い」といった事実と異なる口コミが書かれたとします。
ところが、この【事実相違の口コミ】などを削除してもらおうと思うと、プラットフォーマーの削除の規約外の口コミとなるため当事者間で対応(投稿者削除or裁判所命令を待つしかない)という状況です。

また口コミを書き込むことをビジネスにしている企業も一部見受けられ、中には競合に多数の悪評の口コミを書き込ませる/自分のところに優良評価の口コミを書き込ませるということを商売にしている悪徳な企業もあるようです。

一応、プラットフォーマーの規約からしても違反(実体験に基づいていないコンテンツ)ではありますが、なかなか根深い問題だと言えますね。

なお今回のように、口コミの投稿者ではなく、プラットフォーマー側そのものを相手取った提訴は日本では初めてですが、既にアメリカ本国ではプラットフォーマーに対する訴訟は何件も起こっています。

確かに医療機関の口コミを見てみると、受付・看護師などスタッフへの苦情、医師の診療や他の患者さんへの苦情に混ざり、最早ただの罵詈雑言になっている口コミも散見されます。
とはいえ、患者側も近年では医療機関にホスピタリティを第一に求める方が増えているのか、口コミを見る限り、診療内容だけでなく医師も含めた【スタッフの態度】に不満をもつ方もいらっしゃるようです。

患者満足度に振り回されて対応を丁寧にしすぎる必要はありませんが、サービス業の面が強くなった昨今では、医療機関に求められているものも昔と変わってしまっているということなのかもしれません。

このコラムは2024年4月に月に配信した記事です


 

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