内科医とは?仕事内容や必要なスキルについて解説

全診療科のなかで最も人数が多く、医師の約20%を占める内科医。
医学生が希望する診療科としても一番人気があり、体調不良時にまず診てもらうお医者さんとして一般人にも身近な医師です。しかし、実際の仕事内容や働き方については、意外と知らない部分もあるのではないでしょうか。

そこで今回は、内科医の仕事内容や働き方、給与事情など、内科医の実態について詳しく解説します。

内科医の仕事内容とは?

内科医は内臓や神経・血液など、主に身体の内側の病気の診断・治療を行います。内科全般を幅広く診る一般内科や総合内科のほか、消化器内科・呼吸器内科・循環器内科など、専門とする領域ごとに診療科が細分化されています。

一般内科や総合内科では、風邪・腹痛・発熱・アレルギーなどの急性疾患や、糖尿病・高血圧などの慢性疾患など、コモンディジーズを中心に幅広い疾患を扱います。一方、各専門内科では、臓器別や部位別により専門的な治療が必要な疾患を扱います。

内科医全般に共通する業務としては、外来診療や病棟管理などが挙げられます。大まかな診療の流れとしては、まず問診や視診・聴打診・触診などによって患者さんの病状を把握し、必要に応じて各種検査を行います。そして、入手したデータを総合的に判断し、病名の診断や治療方針の決定を行います。診断結果や治療法について患者さんやご家族に説明を行い、同意が得られれば、その後は治療を進めながら経過をみるという流れが一般的です。

基本的に投薬治療が中心となり、慢性疾患の治療では薬物療法に加えて生活指導などを行う場合もあります。また、病状に応じて外来からの入院判断や、他の医療機関への紹介の判断なども行います。

内科医の働き方とは?

内科医の働き方は、勤務先の規模や施設形態などによって変わります。ここでは、内科医の働き方の一例として、以下の4つのパターンをご紹介します。

 有床医療機関
 無床医療機関
 介護保険施設
 健診施設

有床医療機関

入院機能を有する病院や有床クリニックで働く場合は、主に外来や病棟管理を担当します。日中だけでなく夜間の急変や急患にも対応する必要があるため、当直勤務やオンコール対応などが発生する場合も多いです。他にも、救急外来や訪問診療、健診業務などを担当するケースもあります。

大きな病院では、専門分野によって診療科が明確に分かれている場合が多く、各分野のスペシャリストとして高い専門性が求められる傾向にあります。大学病院などでは、研究に携わることもあるでしょう。一方、中小病院や有床クリニックなど規模が小さくなるにつれて、スペシャリストよりもジェネラリスト的な役割を求められる傾向が強くなります。

無床医療機関

入院機能を持たないクリニックで働く場合は、主に外来診療を担当します。また、健診や訪問診療などを行う場合もあります。入院患者さんや夜間救急の受け入れがないため、基本的に当直やオンコールはありません。(ただし、訪問診療ではオンコール対応が必要になる場合もあります。)

軽症疾患の診療を中心に、患者さんのかかりつけ医として総合的な診療を行います。どこまで専門的な治療を行うかは、クリニックの設備や規模によるところが大きいです。入院加療や精密検査が必要な場合など、自院での対応が難しい場合には、適切な医療機関にご紹介する形となります。

介護保険施設

介護老人保健施設や介護医療院、特別養護老人ホームなどで働く場合は、主に入居者の健康管理を担当します。定期健診や予防接種の対応も含め、施設内のかかりつけ医としての役割を担います。

施設でお看取りを行っている場合などは、当直やオンコールが発生する場合もあります。施設長の役職を担うケースも多く、勤務医と比較して業務は多岐に渡ります。一方で、体力的な負担が少ないことから、定年後のセカンドキャリアとして人気が高い働き方です。

健診施設

病院付属の健診センターや健診専門クリニックで働く場合は、主に健診や読影業務を担当します。外来を併設している施設では、健診受診後の患者さんのフォローを中心に、外来を担当する場合もあります。また、消化器内科を専門とする場合、内視鏡検査をメインに担当するケースもあります。
当直やオンコールなどの夜間対応が無いことに加えて、完全予約制を採用している施設が多く残業も発生しづらいため、ワークライフバランス重視で働きたい医師に人気があります。

内科医の給与事情は?

少し古いデータになりますが、労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、病院に勤務する内科医の平均年収は1247.4万円となっています。本調査における全科平均の1261.1万円と比較するとやや低いものの、平均とほぼ同水準であることがわかります。
また、内科医および全診療科の医師の年収分布は以下の通りとなっています。

▼ 年収分布

全体に占める割合
主たる勤務先の年収内科全診療科
300万円未満3.5%2.6%
300万~500万円未満7.1%5.1%
500万~700万円未満7.4%7.0%
700万~1000万円未満13.5%14.2%
1000万~1500万円未満29.2%31.9%
1500万~2000万円未満28.4%29.3%
2000万円以上10.9%10.0%
500万円未満・計10.6%7.7%
1000万円以上・計68.5%71.2%

出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

内科医は1000万~1500万円未満の年収帯が一番多く29.2%、次いで1500万~2000万円未満の年収帯が28.4%となっており、1000万~2000万円未満の年収帯が全体の約6割を占める形となっています。内科医は全診療科のなかで最も人数が多いこともあり、年収分布も全診療科の平均と比較的近い数値になっていると考えられます。

同時に行われた給与・賃金の額に対する調査では、内科は「満足している」「まあ満足」と回答した割合が、いずれも全科平均より若干高くなっています。逆に、「不満」「少し不満」と回答した割合については全科平均より低く、全診療科のなかで2番目に低くなっています。ちなみに、「不満」「少し不満」と回答した割合が最も低いのは、平均年収が最も高い脳神経外科です。内科医の平均年収はさほど高くないものの、それを不満に思う医師が少ないということは、仕事量と収入のバランスは悪くないと考えられます。

内科医の魅力とは?

内科医は診療のファーストタッチを担うことも多く、自身の診断が患者さんのその後を左右することもあります。適切な診断や処置によって病気を治したり、重症化を防いだりできるというのは、内科医としてやりがいを感じられる部分でしょう。

また、慢性疾患では継続的な治療が必要となるため、長期的に患者さんと関係性を築いていくことになります。責任も大きいですが、患者さんが自分を信頼して頼ってくれるというのは、仕事のモチベーションにつながるでしょう。

さらに、サブスペシャルティを取得して専門性を極めたり、予防医療や在宅医療に携わったりと、内科医には幅広い活躍の場があります。キャリアの選択肢が豊富にあるため、年齢や場所にとらわれず生涯現役で働けるというのも魅力の一つです。

内科医に向いている人とは?

内科医に向いている人の特性としては、以下のようなものが挙げられます。

 洞察力・分析力がある
 コミュニケーション能力が高い
 好奇心旺盛で学習意欲が高い

内科医は、患者さんの訴えや症状、各種検査結果などをもとに病気の診断・治療を行います。目に見えない身体の内部の不調を見極めるためには、細かな異変に気付くための洞察力や、検査結果を適切に読み解くための分析力が求められます。
また、診療や治療をスムーズに進めるためには、患者さんやそのご家族、一緒に治療にあたるコメディカルと適切にコミュニケーションを取り、良好な関係性を築くことも重要です。

さらに、かかりつけ医として総合的な診療を行うには、専門領域だけでなく多分野の知識が必要になります。好奇心旺盛で学習意欲が高い人は、さまざまなことに興味を持ち、知識の幅を広げていくことができるでしょう。

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内科医になるために必要な資格とは?

内科医になるためには、まず医師免許の取得が必須です。医師免許を取得するためには、6年制の大学医学部に進学し、医師国家試験に合格する必要があります。
医師免許取得後は、2年間の臨床研修でさまざまな診療科をローテーションしながら、医師としての基本的な診療能力を身につけます。研修修了後には自身の専門分野を選ぶ必要があり、そこで内科を選択することで内科医としてのキャリアがスタートします。

専門医を取得する場合には、まず基本領域となる「内科専門医」の取得を目指します。サブスペシャルティ領域の専門医は、内科専門医取得後でなければ取得することができません。

内科専門医を取得するためには、内科専攻医として3年間の専門研修プログラムを修了し、内科専門医試験に合格する必要があります。内科専門医を取得後、さらに3年間の専門研修を修了すれば、サブスペシャルティ領域の専門医を取得することが可能です。ただし、一部領域では基本領域とサブスペシャルティ領域の連動研修が認められており、専門医取得にかかる年数を短縮することができます。

なお、内科医として働くうえで、専門医の取得は必須ではありません。専門医を取得しなくても内科医としてキャリアを築いていくことはできるため、取得するかどうかは各医師の判断になります。

医師の転職・バイトなら医師ジョブ

内科医として働くなかで、さまざまな理由から転職やアルバイトを検討することもあるでしょう。そういった場合には、転職エージェントを利用するのがおすすめです。

内科はメジャーな診療科であるため、求人自体は豊富にあります。しかし、求人数が多いゆえに、そこから自身にぴったりの求人を探して比較検討するのには、多くの時間と労力がかかります。

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まとめ

内科医は、主に身体の内側の不調を診る医師です。ジェネラリストとして内科全般の診療に幅広く携わるほか、専門分野を極めてスペシャリストを目指すことも可能で、働き方の選択肢も豊富にあります。平均年収はさほど高くないものの、希望に応じて働き方の調整がしやすい診療科とも言えるでしょう。

診療の幅を広げたい、専門性を磨きたい、収入アップを叶えたい、ワークライフバランスを整えたいなど、ライフステージの変化と共に働き方を変えながらキャリアを重ねていくことも可能です。もし転職やアルバイトなどをご検討される場合には、是非医師ジョブにご相談ください。

 

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▼ 参考資料
令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況|厚生労働省
内科医 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
調査シリーズ No.102 勤務医の就労実態と意識に関する調査|労働政策研究・研修機構(JILPT)
一般社団法人 日本専門医機構一般社団法人 日本専門医機構

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