転職活動においては「履歴書」と「職務経歴書」の提出をし、これに基づいて選考が進むのが一般的です。特に履歴書は採用担当者が一番初めに目を通す書類で、これによって選考が進むか進まないかが決まると言っても過言ではありません。しかし、いざ内容を書こうとしても、どのように書けばよいのか悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回はより分かりやすいように「職務経歴書」との違いや役割を踏まえながら、「履歴書」の書き方について解説していきます。
医師転職における履歴書の役割とは?
医師の転職活動において求められる履歴書とは、一般的には「本人確認をするための書類」となります。選考過程においては、応募者である医師の基本情報を確認するとともに、記録として履歴書を保管することが一般的です。履歴書の特徴や役割については、職務経歴書との違いに着目するとわかりやすいため、下記で詳しく説明いたします。
医師転職の履歴書と職務経歴書の違い
履歴書と職務経歴書はどちらとも転職活動をするうえで欠かせないもので、医師転職の面接では、履歴書と職務経歴書をセットで提出するのが一般的です。
職務経歴書では、以下の内容を記載するようにします。
細かな職務経歴
経験
保有資格
保有スキル など
職務経歴書は、「自分」という商品を医療機関の経営者や事務担当者などの面接官に売り込むための資料・企画書であり、レイアウトや記入の仕方に決められたフォーマットはありません。自由度が高く、「アピールしたいこと」を明確にできるため、内容に差がつきやすくなることが特徴です。
職務経歴書の作成ポイントは以下の記事をご覧ください。
一方で履歴書は、先述のとおり、医師本人の基本情報を書く書類となります。履歴書にも、自己PRや志望動機、保有資格などを書く欄はございますが、履歴書の場合は氏名・住所・学歴・職歴などの基本情報がメインとなるため、履歴書だけで自己アピールをするのは難しくなります。
そのため、履歴書で基本情報を伝え、自分の魅力を職務経歴書に記載するのが一般的です。書類選考や面接においては、履歴書の写真や出身地、年齢などから「どういう人物か?」を確認し、職務経歴書で「どういう医師か?」を掘り下げるイメージです。
また、医療機関からの指定がなければ、一般の転職活動と同じ形式の履歴書用紙を使うことも可能です。
医師転職における履歴書の必要性と作成メリット
先生の中には「医師転職に、履歴書は必要なのか?」と疑問を持つ方が意外に多くいらっしゃいます。学生時代にアルバイトをするために履歴書を書いたことがある程度、そもそも履歴書を書いたことがない、という先生もいらっしゃるかもしれません。確かに古い時代の転職活動では、履歴書が不要な時期もありました。また、現代においても、医局の先輩や後輩のつながりがあったり、医局からの派遣先であれば、履歴書は不要と考えるケースもございます。しかし、履歴書の役割に目を向けてみると、以下の理由で必要であると考えられます。
◯◯治療の臨床経験はどのくらいなのだろうか?
将来的に首都圏に戻る予定なのだろうか?
◯◯町からの長距離通勤は負担にならないだろうか? など
履歴書・職務経歴書をベースに面接を進めることで、「こんなはずじゃなかった」というお互いのミスマッチを解消することができます。
面接官以外に自分を知ってもらうため
例えば、大学時代の先輩とのつながりで総合病院に入る場合、その先輩は自分の実績やスキルの大半を知っていて「とても優秀な外科医です」と病院側に紹介しているかもしれません。一方で、雇用主となる病院経営者や従業員の管理をする人事総務部門などは、具体的なスキルや経験、資格などまで把握したいと考えています。また、その先輩医師も本人の全スキル・全資格などを把握しているわけではないため、やはり病院側に履歴書提出を行なうのが理想です。
採用以外でも使うことがあるため
病院側には、治験や緊急時の対応などで「こういう医師はいないか?」などの打診がくることがあります。病院側で採用面接時の履歴書を残していれば、これまでのキャリアや必要資格などの簡単なチェックもできます。また、治験責任医師や治験分担医師に任命された場合、最新の履歴書の提出が求められることもございます。このように転職活動時に履歴書・職務経歴書を作成しておくことで、その内容をアップデートしたものを提出すればスムーズに対応することができるのです。
履歴書の項目と書き方のポイント
転職活動用の履歴書は、用紙に記載されている項目をただ埋めれば良いわけではありません。特に、面接前に応募書類を送った場合「この医師に会ってみたい!」と思わせる工夫や配慮が必要です。ここでは、履歴書の一般的な項目と、それぞれの書き方のポイントを紹介いたします。
日付
郵送の場合は「投函日」、面接に持参する場合は「面接日」を記入します。日付は、履歴書全体で西暦か年号に統一する必要があります。
写真
サイズは履歴書により異なりますが、「縦4cm・横3cm」の写真を貼り付けるのが一般的です。履歴書の内容を書き損じる場合があるので、写真は最後に貼り付けます。また糊が剥がれて紛失することがあるため、写真の裏に名前を記載しておくと安心です。服装は、「スーツかジャケットを着たフォーマルなもの」で3ヵ月以内撮影したものにしましょう。第一印象につながる大事な要素となるため、なるべく写真館で撮るのが理想的です。
氏名
戸籍に登録されている文字を正確に記入します。姓と名の間のスペースをあけることで読みやすくなります。読みは「ふりがな」の時は平仮名で、「フリガナ」の時はカタカナで記入しましょう。また捺印が必要な履歴書もあります。失敗してしまうと書き直しになってしまうので、最初に捺印することをおすすめします。
生年月日・年齢
提出時時点の年齢を記載します。
住所
都道府県から建物名、部屋番号まで正確に記入します。フォーマットに郵便番号欄がない場合もあるので忘れずに記入しましょう。また、ふりがな欄の記載も忘れないようにしましょう。
電話番号
固定電話または携帯電話のどちらかをハイフンで繋いで記入するようにしましょう。応募先の病院からかかってきた時に着信に気づきやすい番号を記入します。また通勤や仕事中で電話に出られない場合もあるので、留守番電話サービスを起動させておくことも忘れないようにしましょう。
E-mailアドレス
携帯電話よりもパソコンのアドレスが一般的です。また在職中に転職活動をする場合、現在の職場のメールアドレスは絶対に書かないようにしましょう。
学歴/職歴/賞罰
学校名、学部・学科名や企業名は正式名称で記入します。高等学校の入学から記入するのが原則です。数字は算用数字を使用し、卒業年・入社年などを間違えないようにしましょう。また「平成」を「H25年」、「高等学校」を「高校」など省略しないように気を付けましょう。卒業年早見表を使うことで卒業年度が正確に分かり、計算する手間も省けるのでおすすめです。
学歴、職歴、賞罰の順に全ての項目を書き終えたら、最後の行の右端に「以上」と記入します。
免許・資格
履歴書の場合、資格の記入欄が非常に小さいため、医師免許、指導医・認定医・専門医資格、その職場に関連性の高いものを順に記載します。できれば「医籍登録番号」も記載しましょう。資格が多い人の場合、やはり職務経歴書があったほうが望ましいです。また勉強中や合格発表待ちの場合、「取得見込み」と記載しても問題ありません。
通勤時間/最寄り駅
自宅のドアから職場のドアまで片道の最短所要時間と自宅の最寄り駅の名前を記入します。尚、時間数は5分単位で書くことが多く、所要時間が42分の場合は40分に切り下げるか45分に切り上げます。ただし新しい様式の履歴書では項目が削除されたため、項目がある履歴書を使う場合には空欄でも問題はありません。
特技・趣味
先生のお人柄があらわれやすい項目です。履歴書の場合、好印象を与えることが大切になるためどんな内容でも良いわけではございません。面接の際に話の取っ掛かりになりやすいので、話のネタになるような特技・趣味を書くようにするといいでしょう。
志望動機
履歴書の中で最も重要なポイントと言っても過言ではありません。働きたい理由、どのように貢献できるか、チャレンジしたいことを明確かつ簡潔に記入します。自分のスキルや気持ちの棚卸しや、ホームページなどで応募先の医療機関の理念や経営方針を確認する作業も大切です。
本人希望記入欄
家庭の事情で転勤は難しいなど、絶対条件は入職前に調整することが望ましいです。希望がないのであれば「貴院の規定に準じます」と記載します。
履歴書の注意点とよくある質問
続いて医師が履歴書を作成する際の細かなルールやポイント、注意点を紹介します。
まとめ
以上、職務経歴書との違いや役割を踏まえながら、履歴書の書き方についてご紹介しました。履歴書は採用担当者が一番初めに目を通すもので、自分をアピールできる重要な書類です。今まで履歴書を作成する経験が少なく、どのような点に注意して作成すれば良いのかわからない方も多くいらっしゃるかと思います。そのような時には紹介会社の担当者に「これで問題ないかどうか」と添削をお願いすることも手段の一つです。
第三者に話を聞いてもらうことによって、自身の新たな強みを見つけるきっかけにもなるかもしれません。
忙しい業務の合間を縫っての転職活動となるかと思います。少しでも効率よく転職活動を進めるためにも是非担当エージェントにお気軽にお申しつけください。