求人で確認すべき「週の勤務時間」とは?~常勤医師の週32時間ルールも解説~

求人で確認すべき「週の勤務時間」とは?~常勤医師の週32時間ルールも解説~

求人で確認すべき「週の勤務時間」とは?~常勤医師の週32時間ルールも解説~

先生方は、求人で見た際に受けた印象と実際に働いてみた後の身体の疲労感のギャップを感じたことはありませんか?

「週4日勤務・残業なし・当直なし」というご条件で入職された先生から、「今の職場に疲れてしまった…」と転職のご相談を受けることもしばしばです。

「週4日勤務・残業なし・当直なし」で働いているのに疲れるの!?と思われたかもしれませんが、よくよくお話を聞くと、そこには一つ落とし穴があることが多い印象です。

今回は、週の勤務日数だけではわからない求人の落とし穴についてのご紹介と、通説となっている「常勤医師の週32時間ルール」も併せてご紹介いたします。

週の勤務日数だけではわからないこと

近頃、大手企業など複数の企業が週休3日制を導入するというニュースが流れ、世間でも話題になりましたよね。

しかし週休3日制といってもそれらの企業が同一の対応を行ったという訳ではなく、日本では以下の2種類で週休3日を導入しているケースが多いようです。

  • 週の就業時間が減る(1日の就業時間は維持する)分、賃金も相対的に減少する週休3日制
  • 賃金を維持する分、週の就業時間を維持する(1日の就業時間を長くする)週休3日制

言い換えれば、就業時間減少をとるか・給与維持をとるか、という話でもありますね。

先生方からすれば関係ない話に思われるかもしれませんが、実はまったく関係のない話ではありません。

就業時間というのは、週の勤務日数だけで見ると思わぬ落とし穴に嵌ります。

最初にお話しした、「週4日勤務・残業なし・当直なし」というご条件で入職された先生の「今の職場に疲れてしまった…」というご相談もそのケースでした。

入職されたのは他社様だったのでご相談当初は子細がわかりませんでしたが、よくよく先生のお話を聞いていると「1日の就業時間(実働時間)が10時間」ありました。

ここに休憩時間2時間も含めると「拘束時間は12時間」となり、1日の半分は医療機関にいらっしゃるご状況です。

これを週の勤務時間に直すと「週40時間勤務」になります。

そう考えると、「週4日勤務・残業なし・当直なし」という条件だけなら良さそうですが、「週の勤務時間」という要素が加わると「なんかきついな…」と思われませんか?

先生は1日10時間勤務に納得されてご入職されていましたが、それでも実際に働いてみるとあまりにも疲労してしまう上に、このままでは身体を壊すのでは…と思ったようです。

先生方も週4日の求人を探す際には、週4日という「週の勤務日数」を気にして探しますよね。

しかし個人的には、併せて「週の勤務時間」の方も確認していただきたいと思っています。

先述の通りではありますが、同じ週4日勤務でも週の勤務時間によって求人の印象がかなり変わります。

週4日勤務×1日7時間勤務=週28時間勤務
週4日勤務×1日10時間勤務=週40時間勤務

いかがでしょうか。同じ週4日勤務でも印象はかなり変わりますよね。

ちなみに以下のようなケースも同様、週の勤務時間で求人の印象は変わります。

週5日勤務×1日7時間勤務=週35時間勤務
週3日勤務×1日10時間勤務=週30時間勤務

求人を探す際には1日の勤務時間が何時間になるのか、結果として週の勤務時間は何時間になるのか、という部分は少なくとも見るべきポイントと言えます。

特に週の勤務時間は求人票に記載されていないケースも多く、ご自身で計算してみる必要があることもしばしばです。

実際に働いてみたらきつかった!ということにはならないよう、週の勤務時間を確認してしっかりと働けそうかを考えてみましょう。

(尚、こちらで取り上げた「週の勤務時間」には当直などの就業時間は含んでいないため、本当に週何時間働くことになるのかを確認したい時には、別途当直時間も足してみてください。)

常勤医師の週32時間ルール?

医師では常勤の週32時間ルールが一人歩きしていますが、結局このルールというのは何の話?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

簡潔に説明すると、厚生労働省が2014年に出した通達「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」を根拠としています。

厳密には、別紙の「常勤医師等の取り扱いについて」に記載されたこちらの文章が有名ではないでしょうか。

3.常勤医師の定義と長期休暇者等の取扱い
(1) 常勤医師とは、原則として病院で定めた医師の勤務時間の全てを勤務する者をいう。
ア 病院で定めた医師の勤務時間は、就業規則などで確認すること。
イ 通常の休暇、出張、外勤などがあっても、全てを勤務する医師に該当するのは当然である。
(2) 病院で定めた医師の1週間の勤務時間が、32時間未満の場合は、32時間以上勤務している医師を常勤医師とし、その他は非常勤医師として常勤換算する。
(後略)

「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」 別紙「常勤医師等の取扱いについて」

あくまでここで定められているのは、立ち入り検査の際に医師の勤務時間数によって配置人数を算出するためのルールです。

つまり、「常勤医師はこの時間まで働いてください」と法律的に明記されているものはありません。

しかしここは注意点ですが、働くにあたっては、当然ながら勤務時間で常勤・非常勤をどう区別するのかというルールに関しては勤務先の規定に沿います。

常勤の定義が法人独自の規定によって定められているケースもあり、「週30時間以上勤務した者を常勤とする」というような文言があれば、週32時間未満でも社会保険の加入などが行えます。

社会保険の加入に関しては常勤・非常勤の大きな違いと言えますが、社保拡大特定適用事業所などであれば短時間労働者にも適用されるケースがあるため、詳細に関しては適宜採用担当者にご確認ください。

ただし、上記の規定から「週32時間以上の勤務を常勤医師」と規定する法人が多いのもまた事実です。

もちろん法人の規定が「週32時間以上の勤務を常勤医師」などと定めている場合は、求人を出している時点で「週32時間以上のご勤務」という一文が入っていることも多いです。

求人をお探しの際にはこの件も頭の片隅に置いてみると良いかもしれませんね。

最後に

当直やオンコールの有無、残業の状況などの細かい勤務時間が別にあるにしろ、求人に記載される勤務時間は実に多彩です。

しかし世間的な週休3日制と同様に、勤務時間の長さは給与に反映されやすい環境のため、就業時間をとるか・給与をとるかという話にも関わります。

求人を探す際には、週の勤務日数だけではなく1日の就業時間も確認し、求人の週の労働時間を計算してみると、意外な求人が見つかるかもしれませんよ。

また先述の通りですが、世間的に常勤医師の週32時間ルールに関して、「根拠」として独り歩きしている節も否めません。

あまり知られていませんが、医師に対する育児支援から短時間勤務制度を設ける法人・医療機関もあり、採用ページでその点を謳っているところも見られます。

もちろん、ご自身でお問い合わせいただくのが最善だとは思いますが、やりとりを行う時間がなかったり、自分で問い合わせるのが怖いという方もいらっしゃるかと思います。

そういった方は、是非とも弊社のような転職支援を行う紹介会社にご相談ください。

先生から頂戴したご希望条件に沿う求人をご提案させていただき、方針のすり合わせなども行いますので、お悩みの方はオンラインなどで一度ご面談のお時間を頂戴できれば幸いです。


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