医師の残業(時間外労働)問題FAQ!残業の様々な疑問にお答えします

【医師】最低保障給?歩合制?年俸制?今さら聞きづらい給与の言葉

医師の残業(時間外労働)問題FAQ!残業の様々な疑問にお答えします

2月が始まり早数日……先生方も様々な事情でお忙しいかと存じます。

この時期、夏・秋ごろの転職をお考えの方、春からのアルバイト先をお探しの方を中心に多数のご登録をいただきます。
また諸事情ですぐにでも転職しなければならないというお急ぎのご相談をいくつかいただくのもこの時期の特徴です。

その転職活動中、紹介会社などを利用していると求人の条件面が記載された書類やメールなどをいただく機会が多いですよね。
その際に、給与の用語で疑問に思った言葉などはありませんでしょうか。

今回はそんな給与に関する言葉のうち、実際に先生方からいただいたご質問と担当者の回答に沿って弊社の求人担当者が解説してまいります。

給与の言葉FAQ

歩合制とは何でしょうか?
本人の業績(売上数や契約数)などに応じて支払われる給与形態のことを指します。
担当者からの解説

ちなみによく混同されやすい「出来高制」という言葉とは、評価軸が異なるため、似て非なるものと言えるでしょう。
「出来高制」とは、仕事の作業量などに応じて支払額が決まる給与形態のことを指します。
例えば内職と言われる「○○を1個作成で××円」と書いてある求人や、「データ入力1件××円」と書いてある求人がそれにあたります。

医師向けの求人の場合は「歩合制」の方がよく見かけますが、それは本人の業績という成果軸であるためです。

なお、インセンティブと歩合制は厳密に言えば意味が異なります。
インセンティブは目標数などを達成した際に貰えるものであり、概ね給与などであるケースが多いようです。

しかし歩合制との大きな違いは、インセンティブの場合には昇進・昇格などの待遇や物品で貰えると規定しても問題がない点が挙げられます。
一方で歩合制の場合は歩合給という言い方ができるように、給与での支払いでなくてはならないことが大きな違いです。

 

保障給(最低保障給)とは何でしょうか?
給与体系として歩合制を取り入れている場合に、最低でもこの給与金額は支払うと保障する金額です。
そのため、この金額を下回ることはありません。
担当者からの解説

歩合制を給与体系に取り入れている場合、月給が変動する可能性が高く、労働者の生活を保障する意味合いから設定されています。
「保障給:月給○○万円」と記載があれば、それが歩合制の中でも最低限貰える固定分の給与となります。

ちなみに覚えておいていただきたいのですが、歩合制(出来高払い)では、雇用されている場合には必ず保障給(最低保障給)を定めなければなりません。
過去、厚生労働省(当時の労働省)の基発第150号(1988年3月14日)から、最低保障給は賃金総額のうち6割以上が妥当だとされています。

医師の場合、診療インセンティブなどがつくことが多いため、歩合給を計算し、保障給と高い方で支給という歩合制の給与も考えられます。
この場合にも保障給が設定されているため、求人上は特に問題ありません。
ただし実際に支給された給与額が、通知書に記載されている保障給の金額を下回った場合は問題となりますのでご相談ください。

 

保障給(最低保障給)が設定されていない歩合制というものがあると聞きましたが、どういうことでしょうか?
完全歩合制(完全成果報酬型)と称される働き方の場合、最低保障給は設定されません。
ただし、この完全成果報酬型は個人事業主にしか設定できないため、勤務医など雇用されている労働者(被雇用者)には設定することができません。
担当者からの解説

被雇用者の場合、労働法第27条で出来高払制に関してしっかりと規定されています。

労働法第二十七条
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

有期雇用・無期雇用に関わらず、雇用されている労働者なのに完全歩合制を結んでいるという方は一度弁護士の方にご相談ください。

上記のように、完全歩合制(完全成果報酬型)で働く場合には、法人などと業務委託契約を結び、個人事業主になる必要があります。
個人事業主となると、当然法人などから社会保険や福利厚生などは受けられず、また毎年個別に確定申告も必要となります。

もちろん、個人事業主になることはマイナスな面だけではありません。
しかし被雇用者ではなくなるという点は必ず覚えておいていただきたいと思います。

なお、固定給と歩合給を定めている働き方をコミッションとも呼び、上記のように保障給を定めない完全成果報酬型の働き方をフルコミッションとも呼びます。

 

年俸制とは何ですか?
給与金額を年単位で決定する仕組みのことを言います。
担当者からの解説

月単位で決定する場合には「月給制」と言い、終身雇用制においてはこちらの方が合っていると言われています。

なお、先生方はご存じかと思いますが、年俸制であっても給与は月1回以上の支払いを行う必要性があるため、年俸制の場合は等分して月毎に支払われています。

また残業代が固定残業代として年俸込みのケースもあるため、残業代の制度がどうなっているのかも確認すべきです。
もちろん、設定された固定残業時間以上の残業を行った場合は、超過分の残業代は支払われなければなりませんので注意が必要です。

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固定残業代の注意点

 

年俸制で16分割や14分割という表記を見かけましたが、何故12分割以上になるのでしょうか?
12分割を引いた余剰の分割分を、賞与(ボーナス)として支払うために16分割や14分割を規定しているケースが多いようです。
もちろん、12分割分は月々の給与として支払われますのでご安心ください。
担当者からの解説

例えば、16分割の場合だと、12分割分を月々の給与として支払い、残りの4分割分をそれぞれ夏季賞与や冬季賞与と称して支払うというケースが見受けられます。
なお、この場合の賞与は厳密に言えば労働基準法上の賞与とは言えず、「名目上の賞与」でしかありませんのでご注意ください。

賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであつて、その支給額が予め確定されてゐないものを云ふこと。
定期的に支給され、且その支給額が確定してゐるものは、名称の如何にかゝはらず、これを賞与とはみなさないこと。
厚生労働省の通達「労働基準法の施行に関する件」

とはいえ、医療機関によっては年俸制+別途業績により賞与支払いとしているところもありますので、賞与の扱いが気になる方は書面にて確認した方が良いでしょう。

 

年収と年俸という言葉は同じですか?
結論から申し上げますと、2つの言葉の意味は異なります。
年収は1年間の収入すべてを指すため、そこには税金、残業代や賞与、副業や非常勤先の収入も含みます。
一方で年俸は、先述の通り年俸制によって支払われる給与そのものを指し、副業や非常勤先の収入は含まれません
担当者からの解説

ちなみに年俸の中にも税金が含まれます。
しかしながら2つ前のご質問の通り、年俸に残業代・賞与が含まれるかどうかは、勤務先の規定により異なりますのでご確認ください。

医師ジョブに掲載している求人では「年収」の表記で統一していますが、医療機関によっては変動する手当類を含まずに提示している場合もあります。
給与面の詳細に関しては、一度お問い合わせいただけますと先生のご経歴などをベースに確認することも可能です。

最後に

いかがでしたでしょうか。
給与面というのは、ご転職するにあたって気になる点の一つですよね。
しかしながら給与に限らず、ご条件面を詰める際には法律に沿った用語が飛び交いますので、意味合いがわかりづらい言葉も多少なりとも存在します。

書面を見ていてわからない言葉や疑問点などがあれば、是非とも担当者までご連絡ください。
「迷惑になるかもしれない」、「お金のことなんて聞きづらい」と思うこともあるかもしれませんが、そんなことはありません。

むしろ疑問点などを解消せずに入職して思っていたのと違った!となる方が問題です。
お困りの方やご転職をお考えの方は、是非クラシスの医師ジョブまでご相談ください。


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