【働き方改革】非常勤のアルバイト(副業・兼業)をする医師が知っておくべき時間外労働の上限規制

【働き方改革】非常勤のアルバイト(副業・兼業)をする医師が知っておくべき時間外労働の上限規制

【働き方改革】非常勤のアルバイト(副業・兼業)をする医師が知っておくべき時間外労働の上限規制

医師の働き方改革の肝となる「時間外労働の上限規制」。

長時間労働が常態化する医師の働き方を適正化し、心身共に健康に働ける体制を作るための取り組みで、2024年より運用がスタートします。この時間外労働の上限規制によって、医師の働き方は大きく変わると言われています。

注目したいのは、この時間外労働の上限規制には、常勤先での勤務時間も非常勤先での勤務時間も含まれるという点です。多くの先生が常勤と非常勤を組みあわせて働いている中で、この上限規制はどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、副業・兼業などにおける非常勤アルバイトの観点から、時間外労働の上限規制の仕組み、バイト先探しの鍵となる「宿日直許可」などについて、詳しくご紹介したいと思います。

医師の副業・兼業にも影響!働き方改革の「時間外労働の上限規制」とは?

2024年から導入開始される時間外労働の上限規制とは?

医師の働き方改革の適用に伴い、2024年より医師にも「時間外労働の上限規制」が導入されます。

これは、深刻化する医師の長時間労働を是正し健康を確保するため、そして医療の質や安全性を確保するために定められたものです。

原則として、医師の時間外労働の上限規制は「月100時間未満/年960時間」となります。

しかし、全ての医師が上記規制に合わせられない背景もあり、医療機関の役割・働き方等に応じて、暫定的な特例として以下の通りに水準が設けられることになりました。

対象となる医師時間外労働の上限
A水準・診療従事勤務医
診療に従事するすべての医師
100時間未満/年960時間以下
(休日労働を含む)
B水準・地域医療確保暫定特例水準
救急・在宅医療など地域医療の確保のために
重要な役割を担う医療機関
月100時間未満/年1860時間以下
(休日労働を含む)
C水準・集中的技能向上水準
研修医・専攻医など高度技術の獲得のため
短期間で集中的に研鑽を積む必要のある医師
月100時間未満/年1860時間以下
(休日労働を含む)

※ B水準の特例適用は2035年度末以降廃止予定

2024年以降は、上記の上限規制の枠内で勤務時間の管理が必要になります。

また、B水準・C水準はあくまでもやむを得ない事情がある場合に限り適用されるものです。原則は全ての医師がA水準を守る必要があることは忘れてはいけません。

↓医師の働き方改革について詳しく知りたい方はこちらをチェック

医師ジョブブログ

医師の働き方改革が進んでいますね。この記事ではその働き方改革についてのそれぞれのメリットやデメリットについてや実際の問題…

時間外労働時間は常勤先・副業・兼業先と合算される

時間外労働の上限規制は、常勤先での勤務に限ったことではありません。

労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含みます。(労働基準局長通達(昭和23年5月14日基発第769号))

参照:副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第 38 条第1項

常勤先だけでなく、アルバイトの時間外労働も合算されるため、今現在副業や兼業をしている、または今後する予定がある先生は注意が必要です。

時間外労働の上限規制の対象外!アルバイト先探しで確認したい「宿日直許可」

宿日直許可とは?

前述の通り、2024年以降はアルバイト先での勤務も含め、時間外労働の上限規制を超えないように勤務を管理する必要があります。そこでポイントとなるものの一つに、「宿日直許可」というものがあります。

「宿日直許可」とは、医療機関が労働基準監督署に申請するもので、宿日直における勤務実態・手当・回数等の基準を満たした場合に取得できるものです。

宿日直許可を取得している医療機関では、許可を受けた時間帯の宿日直は、労働時間から除外することが可能になります。反対に、宿日直許可を取得していない医療機関では、夜間・休日等の勤務も全て労働時間とみなされます。

当直・日当直等のアルバイトをする場合には、勤務先の医療機関が宿日直許可を取得しているか否かが労働時間の管理にも影響するため、2024年以降は宿日直許可の有無がアルバイト探しにも影響すると推測されています。

宿日直許可がある副業・兼業先は勤務時間にカウントされない

宿日直許可を取得している医療機関で働く場合は、許可を受けている時間帯の宿日直に関しては、原則として労働時間にカウントされません。そのため、副業や兼業として常勤先と異なる医療機関で働く場合でも、宿日直許可を取得している医療機関での当直・日当直であれば、労働時間を気にすることなく働けます。

ただし、”許可を受けている時間帯”以外の宿日直に関しては、通常通り労働時間としてカウントされるため注意が必要です。宿日直許可の基準には、「常態として、ほとんど労働をする必要がないこと」「宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること」等の条件があります。そのため、深夜の時間帯のみ、病棟宿日直業務のみといった限定的な許可を受けている場合もあるのです。

宿日直許可は所属診療科・時間帯・業務の種類など対象を限定して取得することが可能なため、ご自身がそこに該当するのか確認することが大切です。

宿日直許可の取得を目指す病院は今後増えていく

宿日直許可の制度自体は昭和時代から存在するもので、医療機関にとって特に目新しいものではありません。しかし、2024年から導入開始される労働時間の上限規制の影響で、今後宿日直許可の取得を目指す医療機関は増えていくと予想されます。

前述の通り、宿日直許可を取得すれば、許可を受けた時間帯の宿日直勤務は労働時間に含める必要がありません。そのため、宿日直許可の有無は労働時間管理に少なからず影響を及ぼします。医療機関側は、宿日直許可が取れなければ、2024年以降は上限規制の影響で宿日直を行う医師が離れていってしまうのでは…という懸念を抱いているのです。

2022年3月~4月にかけて行った厚生労働省の調査によると、2024年4月以降に時間外労働が960時間を超える見込みがあると答えた529病院のうち、すでに宿日直許可を受けている病院は168病院(32%)でした。そして、宿日直許可を申請予定だが申請していない病院は、宿日直許可を取得済の病院を上回る234病院(44%)となっています。



申請し、許可を取得した
申請したが、許可が得られなかった(令和元年7月1日以前に申請)
申請したが、許可が得られなかった(令和元年7月1日以後に申請)
申請していないが、申請する予定
申請しておらず、申請する予定もない

出典:医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果(P8)

この結果からも、2024年の時間外労働の上限規制の導入までに宿日直許可の取得を進めたいと考えている病院が多いことがわかります。

宿日直許可ありの求人を探す方法

宿日直許可を取得している医療機関の求人は、求人サイトで探す以外にエージェントに相談するのもおすすめです。求人サイトでは、現段階で宿日直許可の有無を記載している求人は少なく、自力で探すのは大変です。

医師ジョブは当直・日当直の求人も豊富に取り揃えており、宿日直許可の有無や今後の取得予定に関してもエージェントが先生に代わって医療機関に確認いたします。今から先を見越してアルバイト先を探したい先生は、是非ご相談ください。

医師の非常勤求人・バイト募集情報|医師ジョブ

副業・兼業の労働時間は本業の常勤先に報告すべきか?

本業の常勤勤務であっても副業・兼業のアルバイト勤務であっても、原則は合算して労働時間に含まれることはこれまでご紹介した通りです。では、副業・兼業先での労働時間に関して、本業の常勤先に報告しなければならないのか、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

基本的には、副業・兼業の報告は自己申告制となっています。副業や兼業に対する十分な管理体制や仕組みが整っていない職場であれば、何も聞かれない可能性もあります。

2022年3月~4月に行った厚生労働省の調査によると、回答のあった全3613病院のうち、副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間を概ね把握していると回答した病院は1399病院(39%)と半数を下回っています。



副業・兼業先も含めて概ね把握している
副業・兼業先も含めて半数以上の医師について把握している
自院での労働時間に限れば概ね把握している
自院での労働時間に限れば半数以上の医師について把握している
半数未満の医師についてしか把握していない
副業・兼業を行う医師がいない

出典:医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果(P4)

現状として副業・兼業を含む労働時間を把握している病院は少ないという結果ですが、無用なトラブルを避けるためには、以下のような事項を申告しておくのが望ましいでしょう。

  1. 副業・兼業先との労働契約の締結日、期間
  2. 副業・兼業先での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
  3. 副業・兼業先での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数

上記を申告することで、ご自身の勤務状況を再確認することにも繋がります。

まとめ

今回は、2024年より導入される「時間外労働の上限規制」に関して、主にアルバイト勤務の観点から詳しくご紹介しました。

「時間外労働の上限規制」は、医師の過重労働の是正のために大きな役割を果たすものです。その規制対象となる労働時間には、原則として常勤先だけでなく非常勤先での勤務も含まれます。

しかし、当直・日当直等のアルバイトを探す場合は「宿日直許可」を取得している医療機関を選べば、その勤務は労働時間から除外することが可能です。また、現時点で宿日直許可を取得していない医療機関も、上限規制による医師離れを懸念し、今後宿日直許可の取得に乗り出すことが予想されています。

時間外労働の上限規制の導入まであと2年を切った今、先を見越して当直・日当直などのアルバイトを探したい先生は、エージェントを活用するのがおすすめです。エージェントを介すことで、宿日直許可の有無や今後の取得予定などについての確認も容易になります。

医師ジョブには当直・日当直の求人も豊富にございますので、是非お気軽にご相談ください。


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