転職市場において、求人が出るということは、すなわち何らかの理由で医師が足りていないということになります。
(もちろん、増患に伴う医師の増員や新規開院などのポジティブな募集背景も多数あることも併記しておきます。)
では、先生方は都道府県別の医師数の不足を示すデータがあることはご存知でしょうか。
今回は、人口10万人当たりの医師数が多い都道府県・少ない都道府県に関してご説明いたします。
医師数が多い都道府県・少ない都道府県
2年に1度、厚生労働省が実施する、医師・歯科医師・薬剤師の免許をお持ちの方に対する所在地や従業地、従事している業務の種別等に関しての調査。
もちろんご存じかと思いますが、こちらは医師法などの絡みにより免許をお持ちの方に義務付けられている調査となります。
その上記の調査を基にした統計である「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」では、様々な調査結果が公開されています。
今回は「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(平成30年度)」を基に、「人口10万人当たりの医師数が多い都道府県・少ない都道府県」のデータを出してみました。
順位 | 都道府県名 | 人口10万人当たりの医師数 |
1位 | 徳島県 | 329.5人 |
2位 | 京都府 | 323.3人 |
3位 | 高知県 | 316.9人 |
4位 | 岡山県 | 308.2人 |
5位 | 東京都 | 307.5人 |
※引用:「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(平成30年度)」
順位 | 都道府県名 | 人口10万人当たりの医師数 |
1位 | 埼玉県 | 169.8人 |
2位 | 茨城県 | 187.5人 |
3位 | 千葉県 | 194.1人 |
4位 | 新潟県 | 197.9人 |
5位 | 岩手県 | 201.7人 |
※引用:「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(平成30年度)」
全国平均(246.7人)
※引用:「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(平成30年度)」
以上のランキングからわかるように、全体的に西日本が上位に入っていることがわかります。
理由としては明治維新以降に官軍の地元であった西日本に多くの医学校が設立されたため、と言われています。
反対に比較的関東の大都市圏から通勤しやすい東日本においては、(東京を除いて)人口に対して医師数が足りておらず、深刻な医師不足が問題となっております。
上記と似ていますが、「医師偏在のデータ(地域・診療科)」においても、下位5件は名前の挙がる都道府県となっています。
大都市圏だからといって医師が足りているかというと、そうではないという事実がここからわかります。
では、肝心の求人に関してはどうでしょうか。
地域別の求人の特長
そもそも、医師の求人の特徴の一つとして、先生方のご希望に合わせやすい土壌があることはここに記しておきます。
通常、会社員などの求人では、「その求人通りの条件での応募」が暗黙の了解となっています。
もちろん、ある程度のご相談は可能な部分はあるとはいえ、基本的に求職者側が要求を通すことは中々難しいと言えます。
しかし、医師の求人では先生方のご希望に合わせていただける場合もございます。
それには先述の「医師偏在」などの理由で目標とする人員数を確保しづらいことが一因と言っても過言ではありません。
条件面において医師の希望条件で対応可能なところを対応することで医師の確保に努め、受け持つ医療圏における医療体制の維持に努めているためだと言われています。
医師が足りている地域においては、好条件求人や条件をご相談できるところが少ない傾向にあります。
基本的には医療機関などの求人条件どおりの方が優先されます。
特に都心部では豊富な候補者から選ぶことができることもあり、なかなか条件のご相談は難しい状況です。
これは、需要と供給を考えればわかりやすいと言えます。
さらには医局の力が強い地域なども多く、特に都心部の一部地域や京都市内といった大学医局の影響が色濃いエリアも一定数存在します。
理由として、周辺にその大学医局に縁がある先生方が開業する例が多いこと、地域医療における高次医療機関としての大学病院の存在という影響も挙げられるでしょう。
反して、大都市圏ではない地方の求人は年収などの待遇面などで比較的好条件になりやすい傾向がございます。
さらに総合診療医としてスキルアップができる、セカンドキャリアとしての選択肢の一つとなる、新幹線代や高速代の支給、住宅手当や社宅・寮の用意など生活面でのサポートが手厚い、等のメリットもございます。
特に埼玉県や千葉県、茨城県では近年進む開発の影響で、若い子育て世代が都内から県内へ引っ越している例が多く見られます。
つくばエクスプレスの開業後、沿線に多くの住宅が建設されて住宅街が整備されたこともあり、将来性が期待できる地域の一つです。
新しい環境でご自宅を探されている先生や、お子様のために学習環境の整った場所をお探しの方にもおすすめのエリアです。
さらに新潟県は昨今開通した北陸新幹線で利便性も向上し、関東への行き来においては新幹線の利用で乗り換えがなくなり、依然に比べて格段に楽になりました。
関西から行き来する場合も従来の飛行機などの選択肢から、JRの有料特急に乗って金沢で北陸新幹線へ乗り換えるという選択肢も増えたことは大きいと言えます。
また条件を融通いただける場合も多く、転居や単身赴任なども見据えた選択肢として、医師が不足する地域で就業先をお探しになることもおすすめです。
最後に
もちろん地域性や医療機関によって差があるので一概には言えませんが、メリット・デメリットの両面を意識し、先生の中での譲れる条件・譲れない条件を決めておくことも大切です。
そして出来ればその条件が可能かどうかを改めて見直してみると良いかと思います。
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