先生方は、転職先を探す際にどのようにお探しになるでしょうか。
もちろん、知人・友人などの伝手や医局という方もいらっしゃるかと思いますが、転職支援サイトなどで求人を探される方もいらっしゃると思います。
その場合には、基本的に業務内容・給与・立地などから候補となる医療機関を絞り込んでいくことになりますよね。
今回はそういった求人探しの際に是非気にかけてほしい「福利厚生」に関して、法定・法定外の違いなどとあわせて解説します。
意外と知らない?「福利厚生」
福利厚生とは、給与や賞与などの基本労働対価に加えて従業員とその家族に提供される報酬のことを指します。
主に従業員の生活向上や労働環境の改善を目的とするものですが、近年では優秀な人材の獲得・定着、また採用のアピールポイントとしても力を入れるケースが増えています。
尚、福利厚生には、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の二種類があります。
文字通りではありますが、種別に解説してまいります。
法定福利厚生
法定福利厚生とは、法律で定められた福利厚生を指します。
つまり、導入・実施が義務付けられているものであり、簡潔に言えば企業などの社会保険料などの負担を指します。
法定福利厚生種類と負担比率(2022年度版)
種類 | 企業負担比率 | 全体料率 |
厚生年金 | 5割 | 18.3% ※ 日本年金機構 令和4年度 厚生年金保険料額表(詳細はこちらから) |
健康保険 | 5割 | 全国平均 10% ※ 協会けんぽの場合、都道府県ごとに料率は変動 (参考)東京都料率 9.81% ※ 令和4年度 協会けんぽ保険料率(詳細はこちらから) |
介護保険 | 5割 | 1.64%(全国一律) ※ 40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者) ※ 令和4年度 協会けんぽ保険料率(詳細はこちらから) |
雇用保険 | ~9月末 7割程度(0.65%) | ~9月末 0.95% |
10月~ 6割程度(0.85%) | 10月~ 1.35% | |
労災保険 | 10割 | 0.3% ※ 業種により変動 ※ 厚生労働省 令和4年度 労災保険率について(詳細はこちらから) |
子ども・子育て拠出金 | 10割 | 0.36% ※ 日本年金機構からのお知らせ 令和4年3月号-pdfファイル(詳細はこちらから) |
※ 2022年7月現在の情報
言うまでもありませんが、企業負担比率10割以外のものは、残りの分を労働者が負担しています。
ちなみに雇用保険料率に関しては、過去に医師ジョブブログでも紹介していますので、詳しくはこちらをご確認ください。
法定外福利厚生
一方、法定外福利厚生とは、雇用主が独自に定める福利厚生のことを言います。
法律による規定がないことからその領域は多種多様なものがあるため、下記には医療機関独自のものも含めて一例だけ載せます。
種別 | 主な内容 |
通勤関係 |
など |
住宅関係 |
など |
慶弔関係 |
など |
子育て関係 |
など |
キャリアアップ支援 |
など |
健康・レクリエーション関係 |
など |
など
法定外福利厚生は、医療機関によって意外と差が出る部分です。
家計に直結するものも多くありますので、額面だけにとらわれない視点も大切になります。
福利厚生を目的として支給されるものは非課税になるものもありますので、節税対策になるというメリットもあります。
また、Webサイト上の求人では書ききれない場合など簡単にしか書かれていないことも多く、全容が把握しきれない求人も多くあります。
「この法定外福利厚生は必ずほしい!」と思っている場合には、手っ取り早く求人に問い合わせたり、「この福利厚生はありますか?」と聞いてみるのも手かもしれません。
アウトソーシングされる福利厚生
医師ジョブに掲載される常勤求人の待遇欄にある「アウトソーシング型福利厚生」という文字を見たことがある方はいらっしゃるでしょうか。
ちなみに実際の求人詳細画面の待遇欄がこちらになります。
これは「選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)」や「パッケージサービス」などとも言ったりする、外部企業の福利厚生サービスを導入していることを指しています。
法定外福利厚生の一種ですが、「選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)」と「パッケージサービス」の違いはそれぞれ以下となります。
種類 | 解説 |
選択型福利厚生制度 (カフェテリアプラン) | 企業が従業員に一定のポイント(費用)を支給し、企業が設定した福利厚生メニューの中から選択・利用することができるメニューのこと ※ 従業員は予め利用できるポイントの上限が決まっており、またメニューにより課税・非課税が分かれるため随時確認が必要 |
パッケージサービス | 福利厚生サービス代行業者がすでにまとめて、パッケージ化されている福利厚生メニューのこと ※ 従業員は利用時に利用費用の割引・初回費用無料などの特典が受けられるが、従業員の費用負担も大きく、利用頻度に差が出やすい |
企業を中心に導入が進んでいましたが、近年は一部の医療機関・法人でも導入するところが増えています。
法定外福利厚生の部分は差が出やすいと言いましたが、要するに労働者が合わないと感じた際にそれを理由に辞めてしまうケースも多くありました。
メリット・デメリットはそれぞれにあるものの、双方とも従業員が好きなものを選んで利用できることが特長的と言えます。
そうすることで従業員の希望と企業や医療機関の法定外福利厚生が乖離することが少なくなり、ワーク・ライフ・バランスという意味合いでも働きやすい環境が整備されるという面があります。
双方とも用意されているメニューは多彩であり、かつ随時変更になる可能性があります。
もし勤務先にこのサービスが導入されていれば、どのメニューが利用できそうかをこまめにチェックしておくと良いかもしれません。
最後に
福利厚生に関しては、住居や通勤交通費を気にするという方も多いかと思います。
他にも病院独自の取り組みを行っている場合もあるため、求人を探している時に、思い描いた福利厚生と完璧に合致する勤務先を選ぶことは正直難しいと言えます。
しかし転職時に福利厚生にお悩みの方は、転職支援サービスをご利用いただくのも選択肢の一つになるでしょう。
先生方の代わりに、医療機関などの採用担当者に先生方のご希望をお伝えし、交渉いたします。
福利厚生をご理由に転職を検討される方や外せない福利厚生のご条件がある方も、是非お気軽に医師ジョブにご相談ください。